第8話 妾
◆
さゆり。どこへ行く?
寝てはおらぬぞ。
ああ、わかっておる。あの男の元へ行くのだろう。
止めはせぬ。行きたければ行くがよい。
妾を置いて。
この暗く広い屋敷に、妾を一人残して。
……遠くから、
今のお前には、何を言っても無駄じゃ。
恋に目が曇っておる。
しかし、目が覚めた時には、遅いのじゃよ。もう、帰るところもない。
それでも、行くのだね。
……ばかな娘。
妾が
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