第6話 妾

 ……。

 のびたか。

 ひ弱な従者よのう。

 今宵のことを、しっかり喧伝けんでんしてもらおうと思うたのに、気絶とは。


 頼りないことよ。このような者を召し使っていたとは、この男がかわいそうにも思えるな。


 しもうた。

 こやつの、名を聞いておくのを忘れた。


 これでは、手足を千切った意味がない。

 四肢と頭、胴体をばらばらにして、この国のあちこちにばらまこうと思っていたのだ。

 きちんと名前を書いておかなけりゃ、誰の体の一部か、わかりゃしない。

 従者は頼りないし、しもうたのう……。

 顔も、すっかり面変わりしてしまったな。胴体からひねり取った途端、青黒くすぼんで、誰やらさっぱりわからん。

 ほほ、はかないものよのう。

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