第3話 妾
◆
さゆり。
ばばさまは、気の毒なことじゃったのう。
首が飛んで死ぬとは。
いったい、どのような
ああ。泣くでない。
ばばさまは、天のお星になって、さゆりのことを、いつまでも見守ってくれる筈。
……大丈夫じゃ。
いつもいつも、さゆりのそばに居る。
さゆりの為に、ここにおる。
何奴!
垣の隙から覗いているのは。
この、不届き者!
見るな。
さゆりを、見るな!
……。
よいよい、さゆりを怒ったわけではない。
今、いたちのように去っていったであろう。
あの、野太い神経の男を、怒鳴ったのじゃ。
なんじゃ、あの白いものは……。
松が
いや。
さゆりが見ることはない。
向こうへお行き。
妾が、焼き捨ておこう。
……。
全く。
屋敷から、にじみ出るほどの、さゆりの美しさ。
しかし、付文とは。
度し難い。わが身を省みぬ、無神経な男めが。
しかし、こうもやすやすと、さゆりを
ここはひとつ、見せしめが必要じゃな。
ま、せっかくの文じゃ。
その神経の図太さに免じて、読むくらいは読んでやろう。
どれどれ。
ぬばたまの夜をまばゆく照らす月さゆりの君や
ぷっ。
駄作。
決めた。
こいつじゃ。
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