死の力

「お主、タナトスの権能を使いたくはないか?」

 俺の今の状態なんて言葉にする必要ないだろう。

 放☆心☆〈キラーン〉

「.....神ゼウス、あなた、気でも狂ったの?」

「なに、こやつなら大丈夫じゃ」

「...はぁ、分かったわよ。ほら、一輝。こっちを向きなさい」

 タナトス様は俺の顔に手を添える。.....それだけだった。

「.....これで、使えるわ」

 次の瞬間、クロノスと同じように苦しみ始めた。

 俺は慌てて、付与の仮面〈不死〉をタナトス様に着けた。

 そして、なんとか、権能の譲渡は終わったらしい。

 —が、聞きたいことが出来た。

「—ゼウス」

「何じゃ?」

「権能の譲渡の条件は?」

「そんなの、渡したい奴に触れれば出来るって......あ」

「ゼーウースー?」

 あ、お決まりのパターンだ。


 その後、ぼこぼこにされたゼウスがいじけて、仕方なく治癒の仮面を着けてやった。

「—で?ビッチ、なんで俺にキスをしたんだ?」

 以後、クロノスをビッチと呼ぶように!!

「そうじゃよ、ビ—」

「あ゛?」

「—美神クロノス様」

「よろしい」

「.....で?なんで俺にキスをした?」

「.....反応が気になったから......」

 ぼそぼそと言った。

「てえてえのぅ」

 ゼウス、それどこで覚えた。

 

 そうこうしているうちにタナトス様復活!!

「......人間の姿に戻ってる」

 タナトス様、戻っても幼いんだな......。

「......今幼いって思ったでしょ.....」

 ムっとしながらぼこぼこと叩いてくる。

全然痛くない。

「それで?神ゼウス、あなたは一体この子を何にするつもりなの?」

「なに、少しばかりのじっけ.....年寄りの趣味じゃ」

 実験って言いかけてた!!

「はぁ、この子に死の力を与えたという事はそういう事でしょ?」

「.....なんのことじゃ?最近耳が遠くてのぅ」

「...まぁ、いいわ。さて、これからの事を考えないとね」

 え?めっちゃ重要なことをごまかされた気がするんだが。


 こうして、俺は時の権能と死の権能を手に入れた。

「おぬしら、二人とも元の時間軸に戻るか、それとも、こやつと一緒に行くか決めんとのぅ」

「行く!」「行くわ!」

 タナトス様とビッチは即答した。

「それじゃ、飛ばすぞい」

 意識が飛んで......ってこれで終わりなのなんかシュールすぎて——————。


 こうして、俺は小学3年生からまた、人生をやり直すことになった。.....前にはいなかった二人が増えて。

 年上のビッチと年下の幼女神タナトス。それぞれ名前が時芽(ときめ)と詩音(しおん)と命名され、姉と妹が出来たのだった。

 そして......。

「よう、一輝。遊ぼうぜ!」

 この元気いっぱいな少年で俺の友達の拓也、もしかしたら、拓也も救えるかもしれない。この仮面の力で絶対に村田も、拓也も、そして朱里もと決意を固めた俺は拓也の返答に

「うん!」と元気いっぱいに返事をした。

 ——仮面を被って—————————。


———どこか分からないところ、神々ですら知らない場所に産まれ落ちた災い。

 死の力を持ち、その力はタナトスですら叶わない。死霊術師(ネクロマンサー)。

「ボクのナマエハ......ネクロム」

  人知れず、神知れず、災いが育っていく。この力を使い、破滅へと導くために——。

 

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仮面高校生 黒夢 @NAME0

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