ようこそ!冥界へ
ようやくクロノス様から解放され、俺はほっと一息つく。
一方、彼女は「フンっ」とすねているようだ。
「いや~実に面白いものをみたわい。まさかクロノスが人間の姿に戻るとはな」
いかにも怪しい老人がゼウス...全知全能と呼ばれる神だ。
状況を簡単に説明すると俺の事が大嫌いな村田 美鈴(むらた みすず)に殺された俺は神の楽園 エデンというところで神やら力やら教えてもらい、俺は仮面の力を手に入れたそして試練を受けさせられて、クロノス様.....時の神の権限違反に触れ、クロノス様がキ....キキキキスをしてきて、ゼウスが言うには権限を与える儀式らしいが....この通りクロノス様は生きている。仮面の力で俺はそれすら捻じ曲げたのだ。“死”すらも......。
「さすがわしが作った力じゃ。わしでさえできないことを可能にしおったわい」
「.....おまえゼウスなんだから全知全能だろ?」
「.....そう、やろうと思えばできるわよこのジジイ」
そういうのは俺の大切なファーストキスを奪っておいて死にかけて....と歩く疫病神こと元(?)時の神クロノス様だ。
「....今なんか私に失礼なこと考えなかった?」
「ヒューヒュヒューヒュー(下手な口笛)」
「ま、確かにわしはやろうと思えばでk」
「—まだ、お仕置きが足りなかったようねぇ」
わざとらしく拳からグキッと鳴ってはいけない音が出てますけどぉ?!
「ふーふふーふー(もはや口笛が出ないまでの動揺)」
「....おぬし等........」
その時の“ゼウス様”は今でも鮮明に思い出せる。
普段温厚な者ほど、怒ったときは怖いと聞いたが.......。
「もう限界じゃ、おぬしらの腐りきった態度には!っ」
クロノス様はがたがた足を震わせて、俺はとっさに恐怖から逃れる謎の仮面を作り即被るほど恐怖を覚え、あまりの激昂ぶりで怒りに任せてゼウスは無意識に冥界の門を開き、二人はその門に吸い込まれてしまったのだった。
「....まったく、人の話をちゃんと聞かんかい!.....って....あれ....?.....二人は....?」
――あら、珍しいわね。こんなところに――が来るなんて―――。
なんだこれ、不思議な感覚だ。何かに包まれているような.....。そして、頭に流れてくるこの声は.....一体.....?————————————————————————。
「—き!—か―き!起.....き..て!一輝!!」
飛び起きるとおでこに痛みが走る。
「痛てて....あ、ようやく起きたわね一輝」
見るとクロノス様がおでこを手で押さえて涙目になっている。
辺りを見ると、知らない場所にいた。まるで魔王城のような不気味な雰囲気を漂わせ、照明はどういう原理か知らないが紫色の火のランタンのようなもので明るくしている。下を見ればカーペットのようなものが敷かれており、もう一度クロノス様を見て、
「ここは.....どこだ?」
「....ここは——」
「——冥界よ」
クロノス様の声とは違う声がした方を向くとそこには、玉座に座っているロr......幼女がいた。
「あなたは?」
「私は死を司る神、そしてここ冥界を収める者、“タナトス”と呼ばれているわ」
「タナトス.....。どう見てもようj」
「誰が幼女よ!私はれっきとした成人だったんだから!」
「「え?」」
「えええええぇ!?嘘!タナちゃんてば成人だったの!?」
「クロノス様まで知らなかったんかよ!」
俺は底に一番驚いたんだが......。
「そうよ。あとタナちゃんって呼ぶな!私はあなたよりも年上よ!」
「え~なんかショック~あんな子供みたいな姿なのに、私よりも年上だなんて」
「そもそも知らなくて当然よ。だって私、“今日引き継いだばかりなんだから”」
「ん?待て待て、今さらっとやばい発言してなかった....?」
「したわよ。私、今日“引き継いだ”の」
「ま、最初はこんなもんよね~誰だって」
まず色々突っ込ませてほしい箇所がいくつかあるんだが.......。
「なぁクロノス様?」
「ん?何?」
「初対面じゃねえかあああああぁ!!」
「うわっ!急にどうしたのよ」
「どうしたもこうしたもあるか!!だいたいなんだよ引き継いだって」
「え?いや、こちらに来て、やれと押し付けられてしまったから....な?」「ね?」
「知るかああああぁ!!」
「なんかいつもの一輝じゃない....?はっ!まさかこれって」
「キャラ崩壊☆」「キャラ崩壊?」
二人同時に綺麗に重なった。
「してないわ!」
「え?どう考えてもしてるよね?」「してるわ(キリッ)」
「そこ!決め台詞みたいにしない!」
としばらくこんな状態が続き......。
「—で?結局あなたたちはどうしてここに?」
「ゼウスを怒らせた」「ジジイが暴走した」
「フムフム......要は、神ゼウスの怒りに触れたという事ね」
まとめる必要はあったのだろうか.....聞くのはやめておこう。
「それで門から来たあなた達をここまで連れてきたわけだけど.....どうするの?」
「どうするって?」
当たり前だが、俺たちはこれからどうすればいいのか分からない。そんな中これからどうするの?と聞かれれば、答えられないのだ。
だが、次の言葉で俺は驚いた。
「クロノス......あなた、“権限をその子に譲った”でしょ?」
「—クロノス....あなた、権限をその子に譲ったでしょ?」
その言葉に驚きを隠せなかったのは俺だけではないらしい。
「......なんで知ってるの?」
件の“元”時の女神は俺に権限を譲り、チート級の仮面、「時の仮面(仮)」を使うことが出来るようになったのはいいものの......まあいろいろあったのだった。
「今のあなたから神のオーラみたいなものが感じられないの。まさかとは思ったけど、その反応を見て確信したわ」
「.....あなた、本当に今日引き継いだの?......先代のタナトスはこんなに頭は冴えてなかったけど......」
そういうクロノスに対してタナトスは不満なのか頬をぷっくり膨らまして「失礼ね!」と怒っているみたいだ。
しかし、その容姿では何をしてもかわいく見えて、俺とクロノスは揃って「...可愛い」とつぶやく。
すると、どこからか、声がする。よく聞いてみると
「お......が.....か。.......れ。——。」
クロノスとタナトスは聞えていないようで、俺はクロノスにこのことを伝えるも、「?」と首を傾げられてしまった。
「あら、迎えに来たみたいよ?」
タナトスはそう言い、俺たちの後ろを指刺した。
振り向くとそこにはゼウスがいた。
「ようやく見つけたわい。お主が今日から引き継いだばかりのタナトスか?」
ゼウスはタナトスに向かってそう問いかける。やっぱり今日引き継いだのか......ていうかそれ以前に俺は“引き継ぐ”とか“神のオーラ”とか知らないんだが!?
「お初にお目にかかるわ、神ゼウス。.....先代とはいろいろあったようで」
「なぁに、昔のことじゃよ。タナトスがわしのデザートを取って食った時なんか―」
「—それより、ゼウスは今まで何をしてたんだ?」
「.....おぬしらを探し回っとったわい」
なんか急に不機嫌になったんだが.....。
「それは骨が折れたでしょう?」
「骨で済むならまだいいとこじゃ...なんせここはちぃっと広すぎるもんでのぅ」
ゼウスは言葉を続ける。
「なんせ、天界だけでも100以上あるからのぅ」
「そうですねぇ。ここ、冥界は魔界ですから、そう考えると.....」
「ざっと2000箇所は回ったぞぃ」
俺とクロノスがそろって「2000!?」と驚く。
何かを察したのかゼウスは「天界や魔界の数を知ってる神は意外と少ないんじゃ」と説明してくれたのでクロノスが驚くのも納得がいった。
「しかしすまんかったのぅ。どうやら怒りに任せて“冥界の門”を開いてしまったようなのじゃ」
「ほんと、驚きましたよ。なにせ、勝手に“冥界の門”が開いたと思ったら、権限を失った女神と、権限と力を手にした謎のd...(咳払い)。....青年がいたんだもの」
....この神、一瞬デブと言いかけてたぞ....。わざとらしく咳払いまでするし.....デブは辛いよぅ。
「それで?神ゼウス。いい加減、本題に入ったらどうなの?」
「.....気づいておったか」
“本題”....?俺は何のことか分からなかった。
「当たり前でしょ?私は冥界の管理人よ。ここ、冥界では私に隠し事なんて出来るはずないでしょ?」
「ちぃとばかし期待しておったんじゃがのぅ。.....一輝よ」
そこで初めて俺の名前を呼ばれた。俺は「ん」と生返事で返す。
「お主....“タナトスの権能を使いたくはないか?”」
...............「は?」
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