第79話 ザリガニの鳴くところ

 ――戦争のときに、アメリカが空から撒いたんや。

 ――日本人は米を食うやろ。アメリカが稲の根をハサミで切らせようとしたんや。


 むかし、わが家の田んぼで稲刈りをしてる時に祖父がそう教えてくれました。なんの話かって? アメリカザリガニがどこからやってきたのかという話です(笑)うちの田んぼにはアメリカザリガニがたくさん棲んでいて、わたしはザリガニを獲るのが大好きな小学生でした。


 先日、アメリカザリガニとアカミミガメの販売と野外放流が禁止されるようになるというニュースが流れました。


「いまさら?」


と思います。


 アカミミガメの繁殖力はすごいです。わたしが子どもの頃、池や川に棲んでいるカメは、クサガメかイシガメのどちらかでしたけど、いま自宅のそばで見かけるカメは8割方アカミミガメです。いまさら、放流を禁止したところで現在の状況が変わるとは思いませんけどね。


 繁殖力に関していうとアメリカザリガニはもっとすごいです。子どもだったわたしの行動圏のどこに行っても、アメリカザリガニが棲んでいました。ニホンザリガニを見たことがないがないので、アメリカザリガニという名前だけど日本のザリガニだと思ってたくらい(笑)


 アカミミガメとアメリカザリガニは、新たに規定された「条件付特定外来生物」として、今年の六月から放流、販売等が規制されます。あまりにも多くの個体が飼育されているので、「特定外来生物」に指定して飼育することを規制することができなかったからだとか。なんじゃそれ。


 わたしはこの生物多様性の確保というのを大義名分に、特定の生き物を「駆除」するやり方、嫌いなんですよね……。近畿地方の河川でオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑が進んでいるとか、ニホンザルとタイワンザルの交雑種が増えているとか、「遺伝子汚染」なんて言葉もあらりますけど、と思います。


 人間が人間の都合で持ち込んだ外来生物がこの国の大地で生き延びるために繁殖、交雑してるんでしょう。人間自身のじゃないですか。なのに外来生物を悪者にして「駆除」するだなんて身勝手もいいところ。しかも、駆除する理由が「生物多様性」だというのだから馬鹿にしています。「生物多様性」なんて当の生き物にとっては、なんの値打ちもないものです。


 アメリカザリガニは、人間に迷惑をかけていません。アメリカ人の目論見は外れて、稲の根は切りませんでしたし(笑)人間もザリガニに迷惑かけるようなことしないようにしたいものです。


『ザリガニの鳴くところ』は読んでないんです。本屋さんに並んでますよね。ずっと気になってるんですけどね〜。ザリガニは鳴かないよーって。


 えっ。そうじゃない?

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