カグヤ
翌朝、ヒカルとヒカリは驚愕の表情を子供に向けていた。
ヒカルは目を見開き、
「なんで大きくなってるの!?」
ヒカリも呼吸を荒くさせながら、
「成長期?」
「成長早すぎでしょ!」
子供は親指を咥えながら二人を見上げていた。
子供は六歳くらいの姿になり、柔らかい青い前髪を眉辺りまで垂らしている。
目じりはわずかに下がっていて、着物は足元に落ちていた。
ヒカルはうろたえながらヒカリに訴えかけ、
「この状況、どうする!?」
「分かんないけど、とりあえず、朝ごはん食べさせないと!」
ヒカリは慌てた様子で台所に駆け寄っていく。
後日、学校から帰ってきたヒカルは、少し大きくなった子供に向けて軽く手を上げ、
「ただいまー」
それから、肩を雨で軽く濡らしたヒカリも続けて家の中に入ってきた。
そして、小さく手を上げながら、
「カグヤ、ただいまー」
カグヤと呼ばれた少女は親指をくわえながら二人に駆け寄っていった。
数日後、カグヤは身長百五十五センチメートルほどまで成長し、ヒカリと似た容姿になり、カジュアルな衣服で身を包んでいた。
「うん、可愛い! やっぱり私の服選びって最高だったんだね!」
カグヤは体を軽快に横に一回転させて微笑み、
「本当?」
ヒカルは笑顔を浮かべて小さく頷きながら、
「うん、すっごく可愛い!」
ヒカリは半眼をヒカルに向けながら顔をこわばらせ、
「え?」
「……ん?」
部屋の空気が一瞬緊張感に包まれる。
しかし、カグヤだけは親指を口にくわえたまま笑顔を浮かべていた。
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