平和な日々の終わり
仲仁へび(旧:離久)
第1話
世界の片隅で、巨大な卵が割れ、その中で眠っていた存在が覚醒した。
中から出てきたのは、闇のオーラをまとうまがまがしい生き物、魔人。
その瞬間に、平和な日々が終わりを告げたのだった。
魔人復活。
その出来事は瞬く間に人々の間を駆け巡った。
平和を満喫していた人たちは、あきらかに憔悴した様子だった。
「またなのか」
「いったいいつになったら魔人は死ぬんだ」
「同じ事のくりかえしじゃないか」
魔人は五十年から百年の周期で復活する。
それがその世界の当たり前だった。
復活した魔人はあばれまわり、各地をめちゃくちゃにしていく。
そのたびに勇者達が命をかけて倒していった。
しかし、いくら倒しても、なぜか再び生き返ってしまうのだ。
だから人々は短い平和な時間を、大切に過ごしていたのだが。
それだけに平和の終わりは、人々を奈落のどん底へ突き落とした。
「今回は早く討伐されるといいな」
「いったいいくつの町が壊滅してしまうんだろう」
「もう嫌だ、こんな事。誰か終わらせてくれよ」
頭を抱える人。
この先の事を心配して考え込む人。
遠く後にいる人の身を案じる人。
人々の反応は様々だった。
だがどれも負の感情である事にかわりはない。
そこには強烈な恐怖がにじみでていた。
これからその世界の人達には様々な危険が降りそそぐ。
そして、いかに平和が尊く儚いものだったのか、身をもって知る事になるのだった。
そこでは、平和はあたりまえではない。
大切で、貴重な、ものだった。
平和な日々の終わり 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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