十一、宇宙人との握手会

今思えば笑えた話があります。今はあるか分かりませんが、テレビに映るヒーローが握手しに来るイベントが私の幼少期にしょっちゅうありました。それも無料、だった気がします。

今回はそんな微笑ましくも、当時は怖いと思ったお話をご紹介しようと思います。


あれは私が小学校に上がり始めた頃の事。その頃の私はウルトラマンに熱中しており、様々なウルトラマンや怪獣のソフビ人形を求め、大きめのカゴ一杯になるほど甘やかされていました。

ある時、近くのスーパーに握手会があると聞かされ、私は喜んで両親が乗る車の後部座席に乗車しました。移動中、「どのウルトラマンが来るの?」と聞きますが、両親は知らないようで、「赤い奴。」と言っていた記憶があります。

誰が来るのか予想しながら考え込んでいると、スーパーに着き、私は両親に連れられてスーパーに入っていきました。中に入ると既に並んでいる家族連れの方が大勢おり、私達は最後尾に立っていました。

しばらく待っていると、先頭の方から歓声が聞こえ、遂に来た!と思った私は父親に肩車をしてもらって、どのウルトラマンが来たのか確認する。


「ん?」


そのウルトラマンは私が知らないウルトラマンでした。


「間、なんのウルトラマンが来た?」


「・・・知らない・・・ね、帰ろ?」


決して知らないウルトラマンだったから帰りたいと思った訳ではありません。明らかに人間とは違う容姿・目が光っている・身長がデカい。この三つの要素が私の中で恐怖を生み、段々と近づいてくるソレに怯えていました。

恐怖が増していく中、父親がようやく私を肩から降ろしてくれて、これで帰れる!と思った矢先、目の前に赤い宇宙人が私を見下ろしていました。

間近で見て更にソレの異様さに恐れ、表情が掴めぬ顔に私は遂に泣き出してしまいました。


今思えば笑える話ですが、当時の私は人間とは違うその容姿が怖いと感じていたんでしょう。それからというもの、ヒーローの握手会があると聞くと、走って逃げるようになりました。

ちなみに、その時来ていたウルトラマンはレオ。現在は大好きなウルトラマンです。

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