十、見せろ
時折、夢の中でも現実の生活と同じようなものを見る時ってありますよね?朝起きて、学校に行き、夜になって眠る・・・次に目を覚ました時には現実に戻る。
現実と夢の境目が無いように思えて、自分はまだ夢を見ているのでは?それともさっきまでのが現実で今が夢なのか?なんて、錯覚してしまう事もあったでしょう。
もし、そんな現実と夢の区別が難しい夢を見てしまった時、その夢の中で起きた異変を現実にまで持ち込んでしまったら、日常生活に影響し、それを取り除く事は容易ではありません。
今回はそんな夢と現実がごちゃ混ぜになってしまったお話をご紹介させてもらいます。
幼少期の頃、夢の中で私は目を覚ました。いつも通りに登校し、いつも通りに帰宅、そしてまた眠る。
目を覚ますと、また私はいつも通りに登校し、帰宅、そして眠る。また目を覚ました。登校し、帰宅、眠る・・・何度これを繰り返していたのかは憶えていませんが、とても長い時間その状況が続いていました。
何度目かの目覚めで異変が起きた。自分が寝ている部屋が違う。これは両親の部屋だ。当時、私の部屋にはまだテレビが無く、一階のリビングか両親の部屋にしか置いていませんでした。
なんとなくテレビの電源を点けると、画面に映ったのは古くさい集合写真。私はその写真を食い入るように見ていき、ある人物の所で「分かったぞ!!!」と大声で何かを閃いた。何を閃いたのかは分かりません。なにせ、まだ夢の中で自由に動く事もままならない状態だったからです。
閃いた私が一枚の紙に何かを書こうとしとその瞬間。
「見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ―――」
背後から低い男の声で息つく間もなく言葉が流れた。私は体を丸め、背後にいる何者かから身を守ろうとした。目をつぶり、じっと待っていると、聞こえてくる声に私は聞き覚えがあった事に気が付く。
父親だ。
そこで私は本当に夢から覚め、本物の朝日を見る事が出来ました。それからというもの、あの夢で耳にした父親の不気味な言葉が頭に残り、しばらくの間、父親と話すどころか、目の前に姿を晒す事すら恐ろしくなってしまいました。
現実と夢は鏡の様。今日の出来事は現実ですか?あなたが今見ている物は現実の物ですか?仲良くなったあの人は現実の人ですか?
そんな事、考えたところでどうしようも出来ませんよ。私含め、この世界が現実のものだと証明出来るものなんて無いんですから。
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