十二、侵入者

みなさんは学生の頃、修学旅行は楽しめましたか?友達と一緒に知らぬ街に出向き、知らない知識や文化を知る・・・のは建前で、夜に一室のホテルに集まって騒いで楽しむのが本音だったり。きっと良い思い出が一つは出来たと思います。

ただ、私の場合、そんな良い思い出を台無しにするかのような出来事が起こりました。

今回はその時のお話をご紹介します。


中学校の修学旅行の時でした。その日は確か自由行動の日だった気がします。慣れない場所、多すぎる人の通りや車の交通量にすっかり疲れてしまった私は、ホテルに着くなりベッドに飛び込みました。同室の友達が他の部屋でみんなが集まっているから一緒に行こうと誘ってくれましたが、そんな気も体力も無く、誘いを断って眠りについた。


目を覚ますと、部屋の中は真っ暗になっており、横を見ると友達が眠っていた。時刻はとっくに0時を過ぎ、中途半端に起きてしまった私はもう一度眠る気が起きず、部屋にあった椅子を窓の前に持っていき、窓から東京の風景を見ていました。

深夜だというのに明かりは絶えず灯っており、道には車も歩行者もまだ沢山いて、なんだか別の世界に来た気分になり、それと同時にホームシックになった。


コン・・・コン・・・コン


しばらく外の様子を見続けていると、部屋のドアからノック音が聴こえてきた。見回りの先生が生徒の確認をしに来たのだろう。私の所では無かったが、部屋から抜け出して夜の街に出向く生徒も中にはいるはずです。そこで何か問題を起こしたり、トラブルに巻き込まれたりしたら、学校側の責任になります。

私は自分のベッドに戻り、寝たフリをしてやり過ごそうとしました。


コン・・・コン・・・ガチャ


ドアが開いた。鍵は掛けていたはずなのだが・・・ああ、そうかマスターキーか。そんな事を思いながら、起きているのがバレないように顔に布団を被せて顔を見せないようにする。

床は絨毯?になっており、足音が聴こえずらかったが確かに誰かが部屋の中に入ってきている。足音はゆっくりと私のベッドの方へと近づき、そこで止まった。

次の瞬間、私の足首がガッと強く掴まれ、明らかな異変を感じた私は慌てて布団をめくって飛び起きると、そこには誰もいませんでした。ドアの方へ行くと、ドアには確かに鍵が掛けられていた。


それから私は朝がくるまでずっと夜の東京を眺め、一睡も出来ずに帰りの新幹線で眠りにつきました。あの時一体誰が入ってきたのかは分かりません。一つ分かる事は、私の足首にはハッキリと強く握りしめた人の手と思わしき痕がついていた事だけ。

こんな風に恐ろしい体験をしない為にも、宿泊先では朝までぐっすりと眠りましょう。

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