八、ノコギリの化け物

みなさんは夢の中で痛みを感じた事はありますか?よくアニメなんかで「ちょっと頬をつねってくれ。」というセリフがありますよね?痛みを感じれば現実、痛みを感じなければ夢、と区別をつけている。

だけど私の場合は現実でも夢でも痛みを感じます。それは今でも。今回は今まで見てきた夢の中で一番痛かった夢を紹介させてもらいます。


夢の中で私は階段状になった世界を歩いていました。その世界には物や人も存在していましたが、どれも私が見た事の無い物ばかり。それらを横目に見ていきながら階段を上っていく。

すると、とある階で見知った顔を見かけました。足を止め、その人物をよく見ると、私の親友と言える人物が私に背を向けて立っていました。

見知らぬ物や人ばかり見ていた為、見知った人物を見かけた私は嬉々として友人に近づいていく。声を掛けようとした瞬間、突然友人は腰を抜かしたようにその場に座り込み、友人の目の前には3mはある四足の足に、人間の上半身が生えている化け物が立っていた。

化け物は頬から巨大なノコギリクワガタのアゴを伸ばし、目の前の友人を挟もうとアゴを広げた。

私は友人を救うべく、友人の背中を引っ張って後ろに投げ飛ばしたが、友人の代わりに私が化け物のアゴの餌食になってしまう。

しまった!っと思うや否や、化け物のアゴが私の両脇を挟み、圧倒的な力で押し潰そうとしてくる。アゴの内側にはノコギリのようなギザギザがあり、それが脇腹に喰い込み、だんだんと深く喰い込んでいく。

脇腹に激痛を感じた。夢の中だと理解はしている。だがこの痛みは現実のものと変わらない。なんとか抵抗しようと化け物の顔面を叩くが、その倍以上のお返しを喰らってしまい、私のアバラ骨が折れた音が聴こえた。


「うあぁぁぁぁぁぁ!!!」


体を真っ二つにされそうになった所で目が覚めた。すぐに自分の脇腹を確認すると、傷も骨もあった。だけど、夢の中で感じたあの痛みは、起きた後でも忘れる事は出来なかった。


夢の中で痛みを感じた所で現実に作用する訳ではありません。しかし、感じた痛みは確かに感覚として現実に残ってしまいます。

夢の中というのは幸せで楽しい世界を体験出来ますが、時に恐ろしく不安定な世界に取り残され、恐ろしい化け物に襲われる悪夢を見る事があります。

悪夢を見ない為にも、寝る前に自分の好きな人物を思い浮かべてみるのも一つの手だと思います。それを眠る瞬間まで強く思い浮かべていれば、きっと良い夢を見れるでしょう。




私には好きな人物がいません・・・私は悪夢から逃れる事が出来ない。

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