四、私が私を見た。
幽体離脱というものをご存じだろうか?自分の体から意識・魂が離れ、一時的に霊体化するという稀な能力である。
これは【非現実的】を【あり得ぬもの】と定型してしまった人には縁のないものであり、幽体離脱を経験するには【現実】を【あり得ぬもの】として、【非現実的】を【常識】として錯覚する事で発動する能力である。
私自身、幼少期の頃に何も貼られてない白い壁をジッと見つめ、意識だけをその壁に飛ばすという何ともおかしな遊びをよくしていたものです。
すると、いつの日か段々と体から意識が離れていく感覚を覚え、ついには自分自身を見つめる所まで出来るようになりました。
幽体離脱をした後の世界にはツーという電波音が流れ、息苦しさと宙に浮くような身の軽さがありました。幸いすぐに体の中に戻る事が出来たため、未だ現世に足を踏んでいられるのですが、この時の体験を楽しんでいた私はそれからも何度も幽体離脱をしようと壁や鏡など一点を見つめ、意識だけを体から分離しようと試みていましたが、歳を重ねる毎に現実というものを知り、その反面非現実的な事をあり得ないものとして認識するようになっていきました。
今現在でも幽体離脱という能力を発動する為に、暇があればどこかを一点に見つめ、今度は外の世界に出ていこうと思っていますが、元の体に戻れないかもしれないという不安を持ち合わせてしまい、意識が離れていく瞬間に我に帰ってしまいます。
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