三、ノイズを発する人形

皆さんは人形を持っていた事はありますでしょうか?人形は持ち主が大切に扱い、愛でる事で心を持つ事があるという話があります。

それとは逆に、酷い扱い方・人形の存在を忘れてしまうと、人間でいう恨みを持つようになる事もあるかもしれません。

これからお話しする事は、その邪の心を持った人形に悩まされた真夜中の出来事についてです。


私には妹がおり、幼い妹は人形が大好きで、特に人型の物を中心に沢山買ってもらっていました。妹は一体一体それはとても愛情をもって大切に遊んでいました。

しかし、年々増えていく人形。そしてまだ子供だった妹の関心はどんどん新しい物へと移っていき、古い物はカゴの中に放置されていました。きっと妹に悪気はなかった気がしますが、たまにカゴの一番下に埋もれている人形を見て、少し可哀そうだなと思う事もありました。

この時の事がきっかけになったかは分かりませんが、私はこの時、人形に対して少し同情してしまったんです。


その日の深夜。みんなが寝静まっている中、私だけが寝付けずにいました。ふと、右隣の方を見ると、そこには妹の人形たちがしまってあるカゴが置かれており、その内の一体の人形の顔だけが僕の方を向いている。

暗闇の中、人形がジッと自分の顔を見ている事に気味が悪いと思っていると、その人形から。


『ザザザッザザザザザ!!!!!』


砂嵐、もしくはラジオのノイズのような音が耳が痛くなる程鳴り出し、私はビックリして咄嗟に布団の中にもぐりこみました。布団の中にいても、人形のノイズ音は私の耳元で鳴っているかのように聞こえ、その日私は一睡も出来ずに朝を迎えた。

朝になった頃にはノイズ音は無くなっていました。

私はボーッとする頭のままカゴの中から夜中にノイズ音を発していた人形を探し出し、電池を抜こうと背中部分を見ると・・・人形の背中には電池を入れる穴などなく、声を出すボタンすら見当たりませんでした。


人形には心が宿る。もしこれが本当なら、あの時、ノイズ音を発していたあの人形は私に何を伝えたかったんでしょうか・・・。

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