第3部 第10話

小屋への襲撃から1週間ほど経ったある日、依頼書をまとめていたところに小屋のチャイムが鳴った。

「俺が行ってくるよ」

「ええ、お願いします」

玄関のドアを開けた。するとそこには、、、

「や、やあ、お前とは初めましてだな」

「!」

俺は杖を構えた。目の前にいるのは普通の生き物ではない。鬼、か?

「ま、待ってくれ!敵意はないんだ!俺は、、、」

「あ、ジョン!久しぶりだねー!」

俺の背後からヒョイとマイリンが顔を出す。

「え、こいつお前の知り合いか?」

「うん、小屋が襲われた後に知り合いになったんだ!この鬼はジョン!悪い人じゃないから安心して!」

「そ、そうか、お前がそう言うなら、、、」

「そうだ!人を食べなくちゃ生きていけないっていうのはどうなったの?」

「ああ、それなんだが、あのオッサンたちに協力してもらって、代わりになるような食糧を定期的に用意してもらえることになったんだ。ありがとう、これもお前たちのお陰だ!」

「そうか、色々あったんだな。で、わざわざこんなところまで、今日は何の用だ?」

「折り入って頼みがある。俺をこのギルドに入れてくれないか?」

突然のその頼みに一瞬狼狽した。だが、、、

「あたしは賛成!今のGJにはパワータイプのメンバーがいないもんね!ちょうど良いんじゃない?」

会話を聞きつけ、ウサギもやってきた。

「私もいいと思いますよ。どうしますか、ジュンペーさん?」

「そ、そうだな。お前たちがいいなら俺も断れないな。よし、じゃあ早速今から役所とかに行って手続きをしようか!」

「あ、ありがとう!」

こいつは見た目の割に義理堅い奴だな。俺たちはお互いに自己紹介をしながらギルド協会に向かっていた。

「へえ、お前、色々大変だったな、、、」

「ああ。でも、今はこうしてジュンペーたちと一緒にいられて幸せだ!」

俺たちは和やかな雰囲気に包まれていた。だが、、、

「!!ジュンペーさん、向こうの壁のようなもの、見えますか!?」

「ど、どうした、ウサギ?そんなに焦って、、、何も見えないぞ」

ウサギの様子は尋常じゃなかった。もしかしたら、本当に何かが見えているのかも知れない。

「ウサギ、大丈夫か?あの時の疲れがまだ残っているのか?」とジョンも心配する。

「いえ、これは、、、まさか、、、」

ところが段々と音が聞こえてくる。それはゴーゴーという音、、、何の音だろうと、周りを歩いていた市民もざわめき出す。

「え、何あれ?」

そう、それは、、、

「間違いありません!あれは地獄天災が一つ、大浪ビッグ・ウォールです!」

その音は世界の終わりへのカウントダウン。今、まさに終焉が始まろうとしていた。

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