第3部 第6話
「くっ、、、これは、、、」
「どうだ!流石にこの数の俺たちには勝てまい!」
部屋の奥からは禍々しい気配と共に無数の鬼が溢れてくる。1匹ならなんとかなったが、いくらなんでもこの数は、、、
「ウサギ!応援を呼ぼう!これじゃ、2人とも、、、」
「そうはさせんぞ!」
建物の出入り口が勢いよく閉じてしまった。
「退路はありませんね、、、なら、ここで全て倒すまでです!」
「がっはっは!諦めずに立ち向かうか、いい度胸だ、気に入った!」
鬼は一斉にこちらに襲いかかってくる。ここは一旦後ろに下がり、1匹ずつ確実に仕留めていこう。私は元々所持していた短剣と虹色の短剣をそれぞれ構える。
「マイリン!棍棒には魔法が効くはずです!弾幕を張ってこらえてください!」
「ウサギ、了解!」
マイリンの身の安全は気にしなくて良さそうだ、彼女は強い。私は全ての鬼を視界に入れ、次の攻撃を予測する。
「、、、!そこっ!」
虹色の短剣で1匹の鬼の首元を捉える。ドサッ、、、
「はは!1匹倒したところで、、、!」
悔しいが鬼の言う通りだった。奴は圧倒的な物量でものを言わせる。これじゃ、体力の限界が来る、、、でも、、、
「諦めない!絶対に!」
その言葉に呼応するかのように体の奥から何か温かいものが込み上げてくるのを感じた。間違いない、これは、、、
「エンドレスペイン!」
私にはいつの間にか兄様と同じ力が宿っていた。
「な、なんだ!?この溢れるようなエネルギーは、、、」
しかも今の私には見える。鬼が溢れてきている方向には本体がある。全ての鬼は繋がっているのだ。と言うことは、、、
「このエンドレスペインは魔法ではありません。特性です。なので魔法が効かないあなたにも有効です!」
「ま、まずい、ここは一旦引いて、、、」
「させない!」
私は近くにいた鬼の1匹を勢いよく何度も斬りつける。
「ぐ、ぐあ、、、」
すると周りにいた鬼も苦しみだし、次々と倒れていく。そして立っているのは息を切らしている本体と思われる1匹のみとなった。
「す、凄いよ、ウサギ!本当に鬼を倒しちゃった、、、」
「油断は禁物ですよ、マイリン。念のため下がっていてください」
私はしっかりと地面を踏みしめ、鬼に近寄る。
「ど、どうした、お前。すぐにトドメは刺さないのか、、、?」
「、、、あなたが村を支配しているのには何か理由がありますね?」
「!」
「私には分かります。訳を話してくれませんか?」
鬼は観念したのかぽつりぽつりと語りだす。
「、、、俺はかつてあの村の住人だった。当時、村人は鬼という種族を研究していたんだ。俺はその実験材料にされてな、初の成功例となったんだ。鬼というのは定期的に人間を食わないと生きていけないんだ。村人たちは俺を観察し、生きながらえさせるために村の子供を俺に差し出してるんだ」
「そ、そんなの、あたしが聞いてた鬼と違うよ!鬼は野蛮で食べなくても良い人間を食べる獰猛な種族だって、、、」
「ああ、かわいそうに。お前も俺に食われた子供たちや一部の人間と同じように嘘の情報を教え込まれたんだな」
「、、、私、怒ってます。かなり怒ってます!今から村人を懲らしめにいきましょう!」
「だ、だが、、、」
「い、い、か、ら!行きますよ、2人とも!」
私は本当に怒っていた。すぐにでも奴らを殺してやりたかった。普通の人間を食べたくもない人間を食べなくちゃいけない種族に作り替え、更には何の罪もない無垢な子供を犠牲にしているなんて!私はマイリンと鬼を連れて村へ向かった。
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