第3部 第5話
「風よ、我を包み、その身を鎧と化せ!」
フード集団との戦闘において、圧倒的な数の不利をものともせず、私たちは善戦していた。
「いっくよー!バレットダンス!」
銃弾の軌道を自在に操る力を持っているマイリンは何十発もの銃弾を放ち、分厚い弾幕を張る。
「く、流石は村一番の銃使い!その名実は伊達じゃないな、、、!」
「それに加えてこの娘、四大元素を自在に操っている!なんて強さだ!」
「それは、、、どうも、、、!」
私は氷の剣で銃を切り刻み、フード集団を無力化する。全ての敵をいなすのに、大した時間はかからなかった。
「それで、あなたたちは何者なんですか?」
「、、、それは、あたしから言わせて」
マイリンの口から真実が語られる。
「あたしの村はね、鬼が支配してるの。その鬼に毎年、上質な人間を献上しないと村が滅ぼされちゃうんだ」
「なるほど、それで銃の扱いに長けているマイリンを犠牲にしようと、、、」
「俺たちも理解してるんだ!こんな習慣は止めるべきだと!でも、死にたくないんだ!それで、たった1人の犠牲で済むならって思って、、、」
「、、、その鬼、強いんですか?」
「!?」
私は全てが穏便に済む解決策を提案する。
「それ、私が倒します。村に案内してください」
「いや、いくらあんたが強くても流石にあいつに敵うとは、、、」
「いいから!案内してください!!」
「わ、分かった。でも、俺たちがそれを承諾したとは言わないでくれよ」
正直マイリンのことを生贄としか思っていない人間たちを助けるのはあまり気乗りしなかった。だが、これもマイリンという仲間を助けるため、、、私は村人の案内で、鬱蒼とした森の中にある一軒の豪華で大きな建物にたどり着いた。
「ここだ。じゃあ、俺たちはもう行くから、あとは頼んだぞ」
そう言い残し、村人たちは去っていった。なんて無責任な、、、その場に残ったのはマイリンと私のみ。私たちは建物の扉を開けた。すると、そこにいたのは、、、
「おー!ようやくか、ようやくいい人間が食えるのか!」
頭に2本の角を生やした巨大な人型の鬼だった。
「私はあなたに食われるつもりはありません。大した恨みはありませんが、ここで倒します!」
「あたしも!悪い鬼は成敗しちゃうよ!」
「なんだと!?俺に逆らうと言うのか!?いい度胸だ、ここで死ねい!」
鬼は持っていた棍棒を振りかざす。
「大地よ、隆起し、我が盾となれ!」
私は地面を操り、それを盾として攻撃を防ぐ。
「マイリン、今です!」
「オッケー!マッドネス・バレット!」
その銃弾は対象の思考を奪う。狂ったように自滅していく、はずだったのだが、、、
「がはは!俺の肉体に魔法は通用しないぞ!」
どうやらそれは本当らしい。私の炎や風の魔法も効かなかった。
「なら、物理で押し通ります!こう見えて私、物理攻撃力も高いんですよ!」
「じゃあ、私も強力な銃弾を使うよ!」
鬼の攻撃はどれも大振りで、避けるのにさほど苦労しなかった。
「これで決める!」
「いっけー、ウサギー!」
「はぁぁ!」
渾身の一撃は鬼の急所を突いた。
「こ、こんなガキ2人に、、、俺が、、、」
鬼は地に伏せた。これで終わりか、そう思った時、、、
「何、この殺気!?」
「マイリン!私の後ろに隠れてください!」
ピーターの目の良さが受け継がれている私には見えた。部屋の奥の方から禍々しい気配がする。
「はっはっは!1匹倒しただけで終わりとでも思ったか!?」
たった今倒した鬼と同じ姿の異形が何十体も湧き出てきた。
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