第2部 第11話

ズバッ、、、

あれ、痛くない、、、私は思わず目を閉じていた。恐る恐る目を開くと、、、

「ウ、ウサギ様は、、殺させません、、、!」

「皆さん、、、!」

アンドリューの刀から身を挺して私を庇ったのは、紛れもなく、化身4兄弟であった。

「最期、くらいは、、いいカッコさせて、、、くれよな、、、」

「ウィリアム、、、」

「ウサギ様、あなたから受けた御恩は、、決して、、、」

「ピーター、、、」

「あなたは、私の兄が認めた、、人物、、、」

「カルヴァン、、、」

「へへ、俺っちたちも、少しは、、役に、、、」

「エピット、、、」

彼らは倒れた、、、死んだのだ。これではあの時と何も変わらない。兄様、私はどうすれば、、、

「?」

化身の体はチリとなって消えた。だが、その跡には1本の虹色の短剣が落ちていた。

「、、、」

「愚かな、なんと愚かな、、、自らを犠牲にして他人を守るとは、、、」

「もう、、、」

「む?」

「愚かなんて、言わせない、、、!」

私はいつの間にかその短剣を握りしめ、再びアンドリューに立ち向かっていた。先ほどまでは疲労で立つこともままならなかったのに、今は何故だか力が湧いてくる!

「まだ抗うか、娘!だが、面白い!私に敵うか、試してみせよ!」

ここからの試合運びは怒涛の展開だった。

「風よ!」

私が手にした虹色の短剣には、どうやら化身たちの力が宿っているようだった。私は足元の風を操り、空を飛んでみせる。

「面白い、実に面白い!ならば私も本気を出していくぞ!奥義、、、」

アンドリューが新たな構えを見せる。

「断絶剣(だんぜつけん)!」

「!?」

その場の空間が割れ、2つになった。私は辛うじてそれを避ける。

「この技は文字通り空間ごと対象を切り裂く奥義よ!私はこれを身につけてから、他人がこの極地に達することのないよう半端者を片付けてきたのだ!」

「そんな、、、理由で、、、自分が剣術を独占したいがためにそんなことを、、、!」

「勘違いするなよ、娘!これは生半可な考えの人間が持ってはならない技術だ!危険極まりない!私は持つべき者が持てるように動いているだけのこと!」

「、、、!大地よ!」

私は地面を隆起させ、その矛先をアンドリューに向ける。

「くおっ、、、」

足元が不安定なった彼の隙を私は見逃さなかった。

「炎よ!水よ!」

私は空気中の水分を集め、炎で高温の蒸気を生み出し、アンドリューに浴びせる。

「だが、、、!奥義、断絶剣!」

かわせないと思われたその攻撃は、彼の技によって4つに切り裂かれた。

「はぁ、はぁ、、、」

奥義を連発しているアンドリューも、疲労が溜まっている私も、互いに息を切らしていた。だが、思考は明瞭で、次やるべきことははっきりしていた。

「術技(じゅつぎ)、、、」

「来るか、娘!」

「エレメントソニック!」

私が繰り出した渾身の一撃は、、、

「、、、!?外したのか!?」

「いえ、狙いはこれです!」

アンドリューの頭上を切っていた。だが、これも狙い通りだった。

「うおっ!?」

大量の枝葉がアンドリュー目掛けて降ってくる。

「なるほど、先の私の牽制の猿真似か!ならば、全て斬り伏せるのみよ!!」

避ける気が最初からないのだろう。彼は落下物を全て捌いてみせた。だけど、これも予想通りの動き、、、!

「はああぁぁっ!!」

「何、、、!?」

私は頭上に気を取られているアンドリューの背後を狙っていた。そしてついに彼に傷を負わせることに成功する。

「ぐあ、、、!」

「はっ!」

私は追撃を試みようとするが、、、

「まだだ!」

彼のサブスペースポケットから出てきた2本の刀によって阻まれた。それと同時に握っていた短剣も彼方へ吹き飛ばされてしまった。

「ははは!これで終いよ!」

「エレメント、、、」

「何!?」

私は理解していた、化身4兄弟の力は短剣だけではなく、自身の体内にも宿されていると!

「フィストオオォォ!」

「がは、、、!」

遂に最後の一撃でアンドリューを倒したのだった。

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