第2部 第7話

化身4兄弟のGJ仮加入後初のダンジョン攻略から1週間後、、、

「なあ、ジュンペー。突然なんだが、正式に俺たちをギルドに入れてくれないか?」

ピーターから提案を受けた。

「うーん、、、確かにお前たちのお詫び行脚もほとんど済んだし戦力もかなり増強されるが、一度に4人もメンバーが増えるとなるとなぁ、、、」

「良いんじゃないですか?私は賛成ですよ」とウサギは乗り気だった。

「おお、ウサギ様!ありがたいお言葉!いかがですか、ジュンペー様?我ら4兄弟、ギルドのためにお力添え致しますぞ!」

「うーん、、、」

「良いと思うぜ、俺も」

ガイマルも出てきた。

「そうか?お前らが良いなら拒否できないな。4人には頑張ってもらってるし。よし、俺も覚悟を決めよう。GJのリーダーとして、4兄弟お前たち全員加入を許可する!」

「ありがとうございます!ジュンペー様!」

4兄弟から歓声が上がる。その日のうちに、俺たちはギルド組合に新メンバーの登録に行くのだった。


その日の夜、、、

「眠れませんか、ジュンペー様?」

「ああ、ピーターか、、、」

なかなか寝付けずいたので小屋の外を散歩していた俺はピーターと会った。

「今日は我の突然の提案を承諾してくださり誠に、、、」

「なあ、ピーター。その言葉遣い、疲れないか?」

「?いえ、全くもってそんなことは、、、」

「いや、少し無理してるように見えるぞ。せめて俺の前では気楽にいてもらえると助かるな」

「そ、そうですk、、、そうか、なら、、、」

ピーターは改めて俺に向き直り、、、

「じゃあ、これからよろしくな、ジュンペー!」

「ああ、こっちこそよろしく!」

俺たちはあまり舗装されていない道を並んで歩いていた。

「なあ、この近くにいい景色が見られるスポットがあるんだ。ついてこないか?」

「ああ、お前の頼みなら行ってみたいな!」

俺はピーターを連れ、近くの湖のほとりへ向かった。

「おお、これは、、、!」

「な?絶景だろ?」

「ああ、綺麗だな、、、」

俺たちはしばらくそこで月が映る湖を眺めていた。

「ジュンペー、確かお前は転生者だったな。この世界に来る前はどんな生活をしてたんだ?」

「あー、それ聞いちゃうか、、、」

「す、済まない!言いづらいなら言わなくても、、、」

「いや、いいんだ。実は俺、学校にもほとんど行ってなくて、かと言って働いてもいない不真面目な奴でさ。将来のことで悩んでいたある時、道端で突然ナイフで刺されて死んだんだ。まあ、幸運にもこの異世界に来てからは割と不自由なく暮らせてるな。そうだ、ピーターたちはこの世界の産まれだったか?」

「ああ。幼い頃の我らは父親の道場で剣術を習いながら、空いた時間にこっそり4人で隠れて魔法の修行をしていたものだ」

「ってことはお前ら、魔法だけじゃなくて剣術も得意なのか?」

「魔法ほどではないがな。ある程度は心得ている。それでな、ある時から父がおかしくなっていってしまったんだ」

「というと?」

「代表的なのは稽古内容の変化だな。キツイという言葉じゃ収まりきらないくらい過酷になっていったんだ。それから他人への攻撃的な言動だ。次第に周囲の者も付いていけずに道場を離れていった。俺たちも10代後半になったくらいから家を出て兄弟4人で研鑽を積んだ。だが、子供がたった4人居ただけでは考えが極端になっていく。それ故に、我らは環境問題を直視しない人間に対して攻撃的な思考を持つようになってしまったんだ」

「そうか、それで街や村に被害を出してたんだな。それで、親父さんとはそれ以来会ってないのか?」

俺の質問に対し、ピーターは落胆した様子で返す。

「そうなんだよ、家を出て1年ほど経ったある日、道場があった場所に戻るとそこは空き地になって、周りに住んでいた人間も父の所在は知らないと言うんだ」

「ふーむ、親父さんの真意が分からないのが残念だな」

「だが、我らはきっと再会して、分かり合えると信じているよ」と言うピーターの眼には、ほのかに希望の光が灯っていたように見えた。


「って言うか、お前ら凄いよな。教本に乗るくらいの有名人になったんだからな」

「そ、そうか?って、そもそも我らはそんな大層な人間だったのか!?」

「えぇ、自覚なかったのか、、、」

俺たちは一緒にギルドの小屋に戻り、それぞれの部屋で眠りについた。

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