第2部 第6話
「ところで、お前たちって実の兄弟なのか?」
化身たちのギルド仮加入から1週間ほど経ち、お詫び行脚をしながら依頼もこなしていたある日、俺は不意に浮かんだ疑問を投げる。その言葉に大地の化身カルヴァンが応える。
「ええ、血のつながった正真正銘の兄弟ですよ。そう言えば、今日はダンジョン攻略に行くのでしたね。私たちの力を是非見てもらいたいです」
「ああ、期待してるぞ」
俺は独学で学んでいた魔法を化身に教わりながら、更に腕に磨きをかけていた。
「皆さん、私も準備が出来ましたよ!さあ、ダンジョン攻略に行きましょう!」
ウサギが部屋から出てきた。
「よし、じゃあ、行くか!」
その道中、、、
「ジュンペーはサモンが使えるんだったな。俺っちたち4兄弟からしてもその能力は実に異質だ、興味深いね」
風の化身エピットがこちらを覗き込む。
「ああ、3回も死んだからな。おかしな力の一つや二つ身につくさ」
そしてダンジョンの入り口にたどり着く。
「ここは同じモンスターでも全体的にレベルが高いやつらが揃ってる。油断してると痛い目を見るぞ!」
「うわっ、ビックリした!急に出てくるなよ、ガイマル、、、」
門を使い、ガイマルが黄泉から顔を出してきた。
「お前らは化身だったな。俺はガイマル、生前はGJでタンクとして活躍してたんだ。よろしくな」
化身を代表してピーターが応える。
「ええ、我らは化身4兄弟です。こちらこそよろしくお願いします」
「今回は俺、男ガイマルも付いていくぞ!」
俺たちは総勢7名でダンジョンに殴り込んだ。
「炎よ、我を包みたまえ!」
「水よ、氷の剣となり敵を殲滅せよ!」
「大地よ、隆起し、敵の行く手を阻め!」
「風よ、切り裂く刃として暴れ回れ!」
化身の力は圧倒的だった。高レベルのモンスターを次々と薙ぎ払っていく。
「な、なあ、ジュンペー、ウサギ。こいつら強いんだな、、、」
「そうだな、ガイマル。お前の出番はないかもなぁ?」
「もう、ジュンペーさんったら、意地悪言わないでくださいよ。って言うか、私たちの出る幕もなさそうですね、、、」
化身の表情から察するに、彼らは張り切っているようだ。恩人であるウサギに少しでもいいところを見せたいのだろう。
「ウサギ様!いかがですか?我らの力は!?」
「え、ええ、とても強いですね、、、」
1階層目、2階層目をスムーズに進み、最後の3階層目にたどり着いた。
「水よ!、、、ふう、ここまで来ると流石に歯応えのあるモンスターが多いですな、、、」
「はっ、ふっ、、、そうですね、ピーターさん。私の出番もあったみたいですね」
「ウサギ様、我らの側を離れぬよう。必ずや無傷で帰しましょうぞ」
「ピーターは過保護ですね、、、」
3階層目のボスは大型のドラゴン。耐久力もありそうだ、持久戦になるぞ、、、
「みんな!奴の爪とブレスは俺が防ぐから後ろに回れ!隙ができたら攻撃するんだ!」
ガイマルは自身を盾とし、ドラゴンに突っ込んでいく。俺はガイマルの背後から化身とウサギに指示を出す。
「このままガイマルの後ろで、化身と俺は敵の体力を削っていくから、ウサギはタイミングが来たらトドメを頼む」
「分かりました、ジュンペーさん!」
「うおおぉぉ!」
ガイマルはドラゴンの強力なブレスをも防いでみせる。
「今こそ我ら化身4兄弟の真価を見せるとき!行くぞ、兄弟たち!合体魔法、エレメントソニック!」
化身たちは渾身の一撃をドラゴンに浴びせる。それぞれが異なる色の光線を出し、それらを束ねることでより強力な攻撃になるのだろう。
「よし、ウサギ!今だ!」
「やああぁぁっ!」
隙を見て、ウサギが飛び出し、ドラゴンの首元を狙う。そして、、、
「ギャオオォォ、、、」
1人も欠けることなく、俺たちは無事にダンジョンを攻略した。最奥に位置する部屋には多くの財宝があり、これでしばらくはお金に困らずにやっていけそうだ。
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