第2部 第5話
ピーターと名乗る男は呪文も唱えずに水の弾丸をいくつも飛ばしてきた。大気中の水分を操っているのか。
「あなたは、、、何が目的、、、なんですか、、、!?」
「答えは簡単、自然へのありがたみを忘れた愚かな人間どもに罰を与えてやったに過ぎん」
「、、、!」
水の弾丸をかわしつつ接近し、ついに私はピーターの喉元まで迫る、、、!
「これで終わりです!」
「ふ、、、甘いな!」
今度は氷の盾で一撃を防がれた。なかなか多彩だな、、、私は距離を取った。
「今度はこっちの番だ!はっ!」
ピーターの言葉に呼応するかのように、何十本もの氷の剣が宙に浮かぶ。
「これをかわし切れるかな?」
その剣はこちらに向かって一斉に放たれた。
「くっ、、、」
ただ無造作に飛ばしてきているわけじゃない、何本かはフェイントだ。下手に動けば余計に当たりやすくなってしまう。だったら短剣を使い、受け流してみせる!
「ははは!なかなかしぶといな!だが、氷の剣は無尽蔵に作り出せるぞ!」
悔しいがピーターの言う通りだろう。こちらからも攻撃しないと、いつかは被弾してしまう。なら、、、!
「はあぁぁ!」
「何!?」
私の決意は固まっていた。この際、片腕を失ってもいいと言う覚悟で突進していく。その中でも氷の剣を短剣で受け流す。
「そ、その動きは、、、!?まるで、水の流れのようだ、、、!」
驚いた表情のピーターに、私は死なない程度の傷をつけた。
「がはっ、、、!」
「しょ、勝負あり、です、、、」
私も左腕に深傷(ふかで)を負っていた。だが、なんとか力を振り絞り、ピーターの首に短剣を突きつける。
「、、、殺さないのか?」
「ええ、でも、あなたは悪いことをしました。なら、それを償うべきです。私もお詫び行脚のお手伝いくらいならしますよ?」
「め、、、」
「め?」
「女神様ああぁぁ!」
「うわっ、なんですか、、、?」
突然ピーターは叫び出し、両膝をつきこちらに向かって頭を地面に擦り付けた。
「あなたは女神様です!あの流れるような動きに、その慈悲深い心!あなたは間違いなく女神様です!」
「え、えーと、、、?」
戸惑っていると、ジュンペーさんもやってきた。
「ウサギ!無事か!?って、誰だ、そいつ?」
「彼は水の化身、ピーターです。一連の事件の犯人らしいです」
「お、お前、化身を一人で相手してたのか、、、」
「あなた様はウサギ様のお知り合いでいらっしゃいますか?」とピーターはジュンペーさんに問う。
「ああ、俺はジュンペー。ウサギと同じギルドの仲間だ」
「おお、そうですか。おっと、こうしてはいられない。今、兄弟たちを呼びますね。是非彼らにもあなた方を紹介したいので」
ピーターは小声で呪文を唱えた。するとすぐに、ローブを被った3人の男たちが現れた。
「紹介いたします。こちらが我の兄弟です」
「俺は長男、炎の化身のウィリアムだ、よろしくな!」
「私は三男、大地の化身、カルヴァン。よろしくお願いしますね!」
「俺っちは末っ子、風の化身、エピットっていうんだ!よろしく!」
私とジュンペーさんは相談の末、その日から化身4兄弟を一時的にギルドのメンバーとして迎え入れることになった。
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