第2部 第4話
風邪も治り、俺は仕事に復帰していた。ウサギと共に依頼書をまとめていたとき、あることに気がつく。
「、、、なんだか、変わった依頼が多いな。例えば、これは街へ供給される水が何者かの手によって遮断されて、その調査、、、こっちは畑が水没してその原因を調べろと、、、」
「はい、妙ですね。水関係の依頼が多いように思えます。場所も近いですし、もしかしたら同一人物による犯行かも知れません」
「よし、ここは手分けしていこう。俺は水が遮断された原因の調査に向かうから、ウサギは畑の水没について調べてもらえるか?」
「はい、了解です!任せてください!」
翌日、俺たちはそれぞれの地域の調査に向かった。
「今日は我々の依頼を受けてくださって誠にありがとうございます」
俺は街の長に話を聞いていた。
「ああ、よろしくな。早速街の水源に案内してもらえるか?」
「はい、こちらです」
街長につられて川の上流にやって来た。
「ここです。川には確かに水があるのですが、何故か各家庭に水が届かないのです」
「ふむ、妙だな。水源は確保されているはずなのに水が止まっている、、、」
俺は周囲を見渡した。そこであることに気がつく。
「この痕跡、、、誰かが魔法を使ったな。最近俺は魔法の勉強をしてるんだ。結構深いジャンルまで調べたりしてるから分かるんだが、これは水の魔法の痕だ。それもかなり高位のものだな」
「そうですか、やはり何者かによる人為的なものでしたか、、、」
「なあ、長さん。誰か心当たりはないか?」
「そ、そうですね。最近噂に聞いている『化身』の仕業という説もありますね」
「何!?『化身』!?」
化身といえばかなり高度な魔法を操る特殊な魔法使いだぞ!?
「ま、街長!とある村に化身が現れたとの情報があります!いかがしますか!?」
突然、街長の従者が現れた。
「!その村に行きたい!場所を教えてくれ!」
その答えを聞いて俺は戦慄した。なんだと!?ウサギが調査に向かった村じゃないか!こうしちゃいられない、俺も向かわなければ!
私は畑が水没したという村を訪れていた。
「よう、あんたがウサギだな。俺はベンジャミン、ここの村長だ。今日は依頼を受けてくれてありがとうな。早速だが例の畑に行こうか」
私は村長の案内で畑に向かった。その中で不審な点に気づく。
「、、、畑が水没した割には、村の家屋には被害がないようですね」
「ああ、別に畑の標高が特別低いわけじゃないんだがな、まあ行けば分かるさ」
そして畑にたどり着いた。そこで見たのは奇妙な光景だった。
「水が、、、浮いてる、、、?」
畑の周囲には大小様々な水滴がたくさん浮かんでいた。
「ああ、魔法の得意な村人の話によると、誰かが魔法で悪さをしてるみたいなんだ」
「術者に心当たりはありませんか?」
「噂によると『水の化身』っていうやつの仕業だとかなんとか、、、」
「化身、、、?」
ジュンペーさんが勉強していたのを覗き見したことがある。確か化身とは4人いて、それぞれが高度な魔法を扱う人間なのだとか、、、
「おっと、俺は村の事務作業とかがあるから持ち場に戻るとするよ。ウサギは好きなだけ村を見ていってくれ」
「はい、分かりました、、、」
私は一抹の不安を覚えながらも1時間ほど村を見て回った。だが、空中に浮かぶ水滴以外は手がかりになりそうなものはなく、GJの小屋に戻ることにした。
しかし、その道中の森にて、、、
「、、、!誰です!?」
私は殺気を感じ取り、気配の主を探す。すると、、、
「ほう、我を認識するか、少女よ」
木の影から青いローブを被った中肉中背の男が現れた。
「お前、水害の件を調査しているな。止めておけ、命が惜しければな」
「、、、あなた、もしかして犯人ですか?なら、忠告しておきます。今すぐにこんなことは、、、」
「止めぬ、決して止めぬ、、、お前は決意が固いと見た。なら、今ここで始末するまでよ!」
男はローブを脱ぎ、顔を見せる。
「お前は我と戦い、そして負ける!名乗ろう、我は水の化身、ピーター!誇り高き化身4兄弟の1人である!」
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