第9話
2階層目はガイマルの言っていた通り、どこもかしくも真っ青のスライムであふれていた。
「こいつら、スライムにしては強いな、、、レベル高くないか、、、?」とガイマルはスライムを辛くも蹴散らしながら言う。
「あ、ああ、、、だが、この程度なら、、、!」とミハイルが言い切る前に部屋の扉がゴーン!と閉まる
「!閉じ込められた!?」
「皆さん!スライムが集まって変化しています、、、!」
ウサギがそう言う頃にはスライムが集合して合体し、一頭の青い龍となって顕現していた。
「ち、、、このスライム、変身能力があるのか!だが、的が1つになれば、、、!」
「そうだな、ジュンペー。ミハイル、1階層目と同じく俺の後ろについてくれ!ジュンペーとウサギも俺の影に隠れるんだ!隙を見て攻撃してくれ!男ガイマル、いざ!」
ガイマルは先頭に立ってドラゴンのブレスを盾で受ける。
「く、強いな、、、!だが、この程度!うおおぉぉ!」
「ガイマル!」
俺には分かった、ガイマルも長くは持たない。長期戦は不利だ。
「ち、、、っくしょー!」
俺は全滅を避けるため、自らを犠牲に炎を受けながらスライムドラゴンに突っ込んだ。
「ジュンペー!無茶だ!」
「、、、!」
ガイマルの心配を無視して特攻する。俺は死も覚悟した、だが不思議と不安はない。きっと何回も死んでるせいかな、、、せめて、相打ちにでもなれば、、、!
「まったく、あんまり無理するなよな」
「!?」
炎に突っ込んでいく俺の目の前に現れたのは半透明の男と女だった。
「イーウィウス!我に力を!」
「セレネウス!我に癒しを!」
2人はそれぞれ異なる種類の巨大なドラゴンを召喚し、スライムドラゴンに善戦する。やがて魔物は倒され、閉まっていた扉が開いた。ガイマル、ウサギ、ミハイル、俺の4人は呆然とその様子を見ていた。
「ふぅ、こんなもんかな。ジュンペーっていったか?仲間を大切にするその心意気、立派だったぞ。だが無茶はいけないな。自分の力をしっかり把握するのは大事だぞ」
「まったく、スフォルの言う通りだよ!仲間に頼ることも考えないとね!」
2人の体は消えかけていた。
「あんたらは一体、、、?」
「俺はスフォル、しがない元魔法士さ」
「私はエミリー、元召喚士だよ!」
そう言い残すと2人は完全に消え去った。
「、、、なんだったんだ、今の、、、」と俺。
「高位のドラゴンを召喚する魔法なんてお伽話かと思っていたが、まさか実在するとはな、、、っていうか急に現れて消えて、、、」とガイマル。
「、、、ええ、実力は確かなようでした。一体、、、」とウサギ。
「ま、まあ、とりあえず次の階層に進もう!」とミハイル。
「!ちょっと待ってくれ!この壁の一部、スイッチになってるぞ!押してみるか、、、」
「ちょっとジュンペーさん、こういうのは罠かも、、、」
ポチッ、、、ゴゴー!
「え、えー!?」
その場にいた全員が驚愕する。開いた扉は次の階層どころか、溢れんばかりの財宝が眠るフロアに通じていた。
「おいおい、お宝が扉から溢れてるぞ。どういうことだ?」
「ミハイル、ジュンペーは運のステータスが高いんだ。前にもこういうことがあったよな?」
「ああ、ガイマル。俺の勘だが、きっとさっきのスライムは倒さなくても先へは進めたんだろう。流石に強すぎたしな。部屋から出る扉を開けるには倒す以外の別の方法があったんだ。それが何なのかは分からないが、倒したことでボーナスが得られるような構造になっていたのかも知れない」
「ジュンペーさんの運は流石ですね!でもさっきの人たちは、、、」とウサギ。
「ああ、問題はそこだ。一体誰だったんだろう?お礼を言い損ねちまったし、、、」と俺。
「ま、まあ、細かいことは置いておいていいんじゃないか?せっかくだしお宝を頂いていこうぜ!」とミハイル。
ミハイルはガイマルに回復魔法をかけ、俺たちは隠し通路を進んだ。
「、、、驚いた、まさか脱出口まで用意されてるなんて、、、」とミハイルは驚いていた。
「よっしゃ、持てるだけ持っていこう!これでこのギルドはしばらくは安泰だな!」とガイマル。俺たちは財宝を抱えて脱出した。
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