第5話

転生後の初ダンジョン攻略成功のお陰で、それからのGJの資金繰りは良好だった。俺は数ヶ月で怒涛の勢いでレベルをカンストさせ、可能な限りステータスを運に振った。ガイマルも防御力をどんどん上げ、街でも随一のタンクとなった。その中で、GJに新たなメンバーとして、ウサギという素早さの高いアタッカーの少女が加入した。

また、その間、俺は新たな知識を付けた。物理攻撃力、物理防御力、魔法攻撃力、魔法防御力、素早さ、運、隠密力、このいずれかのステータスがこの異世界で最も高い人物を『マスター』と呼ぶらしい。ウサギ曰く、2度目の転生前の俺は物理攻撃力においてのマスターだったのではないか、と。

俺は今、ガイマルとウサギと共に行動しているが、異世界で俺を一度殺した人物を探していた。俺の隙を突くほどの隠密力だ。もしかしたらマスターの1人かも知れない。だが、理由が分からない。まずは当時の記憶を辿ってみよう。魔物討伐の依頼でボスを倒したらそのボスの背後からの奇襲を受けたんだっけ。ボスはまあまあ大柄だった、とは言え、当時の俺の目を盗んで攻撃してきたのを考慮するに、犯人は小柄な体格だったのだろう。そう言えばローブを被っていたな、もしかしたら、そのローブも隠密力を上げる装備なのかも知れない。

「ジュ、ペ、、、ジ、ン、ー、、、」

「、、、」

「ジュンペーさん!」

「おっと?」

「どうしたんですか?ぼうっとして」

「すまない、ウサギ、ちょっと考え事をな」

「最近は魔物討伐の依頼が立て込んでいましたからね、今はゆっくりしてください」

俺たちGJはギルドの拠点とする小屋で休憩をしていた。

「俺はタンクだし体力はある方だが、流石に少し疲れたな。まあ、ベッドで横になるなり、街に出て気分転換をするなり、今は自由だからな」

「ガイマルさんもお疲れですか?私はまだ大丈夫ですので、この小屋を空けるなら私が留守番しますよ?」

「ありがとう、ウサギ。お前は体力あるなぁ。なあ、ジュンペー。一緒に街に出かけないか?」

「そうだな、久々に行くか!」


街に行くまでの道中、、、


「お、300ゴールドみっけ!」

「流石は運に全振り。ラッキーだなぁ」

「へへ、まあな」

「ジュンペー、お前はもうレベルがカンストしたが、何か他に目標はあるのか?」

「うーん、今は特にないな。とりあえずギルドに貢献できればいいかなって」

「あくまで無欲なんだなぁ、お前。まあ、またダンジョン攻略にでも付き合ってもらおうかな」


城下町にて、、、


「ガイマル、昼飯は何にしようか?」

「肉だな、肉!腹が減っちまってよ、ボリュームのあるものが食いたいな!」

「じゃあ、手頃な値段のステーキでも食うか!」

俺たちは近場にあった、精肉店を併設するステーキ店に入った。

「おめでとうございます、お客様!あなたは記念すべき1万人目のお客様です!好きなだけ食べて行ってください!お代はいただきませんので!」

「おおっと?」

「これもジュンペーのお陰だな!」

俺たちはタダでたらふくステーキを食べてギルドの小屋に戻るのだった。

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