第106話 魔法の詠唱は恥ずかしい!
僕たちは、まず、ハリーポッターのエリアの中でも人気のあるホグワーツ城のなかにあるハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーのアトラクションに並ぶ。平日だからせれほど混んでなさそうだ。このアトラクションは荷物を預ける必要があるので、待ち列の途中にある無料・鍵付きのロッカーに荷物を入れる。
待ってる間は、映画に出てくる動く絵画があったり、違う場所にはダンブルドア校長の姿もあったりしてそういうのを見てたらあっという間に時間が流れて待ち時間が苦にならない。
「いまさらなんだけど、このアトラクションって酔ったりする?」
「どうなんだろう。僕も初めてだからな」
「結構絶叫系らしいからそういう事はあるかもしれないけど、明日香はダメな感じ?」
「私は苦手かも。加奈は大丈夫なの」
「こういうのは小さい時から一樹や翔琉と一緒によく乗って遊んでたからあんまり苦手意識はないかな」
「明日香、不安だったら無理に乗る必要ないよ。今日はちょうど、ホグワーツ城の中だけを見学するキャッスルウォークというアトラクションが開催されているからそっち行く?」
「私に合わせなくていいよ。翔琉は楽しんできて」
明日香に気を遣わせるのもよくないか。
「わかった。楽しんでくるよ」
「なら明日香、アリスも連れてってあげてくれない。さっきから私の服にしがみついて離してくれないのよね」
そういえばさっきからおとなしいと思ってたら、加奈の服の袖を引っ張て若干震えているような。
「アリス怖いなら無理しなくても」
「こ、こ怖くないわ! これは、武者震いよ」
「そんなこと言って乗ってからじゃ引き返せないからね」
「アリス、私と一緒にキャッスルウォーク行こう」
明日香が手を差し伸べる。その手を見ながらアリスは、自分のプライドに葛藤してなかなか判断できないようだ。
「アリス、無理は良くないよ。無理して体調が悪くなったりしてこの後が楽しめなくて一日終わったらその方が嫌じゃない」
「カケルが言うなら・・・・・・」
明日香とアリスは列を抜けて、キャッスルウォークに向かった。
それからほどなくして順番が回ってきた。
乗るライドは4人乗りで加奈を挟むように座って僕の隣は空いている。安全バーを下ろして、準備すると、ほどなくして動き出した。映像がきれいで映画の中に入ったようでハリーと一緒に空を飛んだりする気分が味わえる。乗ってるライドは、最初に横方向の左に揺れ、映像が進むごとに前後、上下の運動とともに、背もたれが倒れる動きも加わり、激しく揺れる。
確かにこれは、自分の意に反して予想してない揺れが結構来るので絶叫マシンに乗りなれてない人は酔うかもしれない。おまけに映像がいいだけにそっちに集中しすぎるのよくない。僕はあまり集中しないように視線を外したりしながらやり過ごした。
「結構楽しかったわね」
「俺は、乗り物っていうより画面に酔ったかも」
「僕も」
「だらしないわね」
加奈は何ともないみたいだが、僕と一樹は足に来ていた。
外の新鮮な空気を吸って近くのベンチで休んでいると、ほどなくして、明日香とアリスが戻ってきた。
「翔琉君、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと休んだら楽になったから」
「そんなにやばかったの」
「確かに揺れが激しかったけど、画面に集中するのもよくなかったよ。途中から視線を外したりしてあまり見ないようにしてたんだけど」
「翔琉、そんなことしてたのか。俺は真剣に最後まで見てたらこの結果だ」
たしかに、一樹はまだぐったりしている。
「明日香はどうだった?」
「楽しかったよ。色入り探索できたし、写真もアリスといろいろ撮ったからあとで見せてあげるね」
「確かに楽しかったわね。いろんなものが見えたし、思ったより細かいところの再現が行き届いてたし」
「へ~、今度機会があったら、僕も行ってみようかな」
「だけどあれって不定期開催らしいわよ。ほら」
加奈が調べてその画像を表示してスマホを見せてくる。
「本当だ。なら二人は運がよかったね」
一樹が回復したところで次の場所に向かった。
「ちょっと気分転換でもしようか」
加奈が地図を出す。その地図は魔法の杖を買ったときについてきたものだ。この地図にチェックされてるところで魔法を使うことができる。
地図を確認してる加奈の隣で明日香とアリスが覗き見ている。僕と一樹はおとなしく待つ。
「ここからだとここが近いから行きましょ」
加奈についていくと、オリバンダーの店の道をはさんで向かいの建物に赤い窓枠のショーウインドウがあって足元に魔法陣のような模様が描かれている。その場所にはスタッフもいてやり方を教えてくれる。描かれてるように杖を振ればいいようだ。その時に呪文も詠唱しなければならない。
さっそく加奈がやると、ショーウインドウ内の赤い玉を浮遊した。成功したようだ。そのあと明日香がやるとなかなか浮遊しない。
「明日香、恥ずかしがらずに叫んだほうがいいよ」
「そんなこと言われても」
結局明日香は成功しなかった。そのあと僕と一樹もやったがうまくいかず最後にアリスがやったらうまくいった。
ちゃんと叫んだほうがいいのだろうか。だけど、周りに人がたくさんいるところで叫ぶのって勇気がいる。その結果、二か所目、三か所目と回っても加奈とアリス以外成功しなかった。
「一回ぐらいは成功したいな」
「そうだよね」
「俺もなんか負けたようで釈然としないんだよな」
「それなら楽しんで叫ぶぐらいの気持ちでやっちゃおう!」
「アルスの言う通りよ。一回ぐらい成功したいなら恥ずかしがってる場合じゃないわよ」
(((それができたら苦労しない)))
僕たちは同じことを思った。
そしてほかのエリアにも行く都合から全部回ったら時間がないので、最後にとホグワーツ急行の駅を少しすぎたところにエントツのある塔が壁際にたっている場所に来た。ここでは魔法の詠唱が上手くいくと、煙突から炎が出るようだ。
「最初に私とアリスがやるわ。私たちが叫んだあとならそこまで恥ずかしくないでしょう」
ここは難しいのか加奈もアリスも何回かの挑戦でうまくいった。
次は僕の番だ。杖を持って構えると、もうやけくそだッとおもいっきり叫んだ。すると、煙突から炎が出た。
「で、でた」
「よおし、私も」
僕が成功したのを見て明日香も気合を入れる。
その結果、最後で明日香もうまくできて、そのあとの一樹もうまくいった。これで全員成功だ。これで憂いはない。
そのあと、ショップに行って、お土産に何かいいのがあるか探した。シャツやベレー帽などあるがさすがに高いので、クランチョコレート二十個入りとミント風味チョコレート十個入りを買った。明日香たちもそれぞれお見上げを買ったようだ。
僕たちは次のエリアに向かった。
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