第99話 目的地に渡月橋が加わる。

二日目の朝、朝食を食べるために食堂にいくと、うまそうな朝食が並んでいる。席に座ると、ほどなくして明日香たちが来た。


「おはよう。明日香」

「おはよう。翔琉君」


 朝食の時間は八時なのでまだ五分ぐらい時間があってみんな揃ってない。時間まで待っていると、


「「ふっぁーーーーーあ」」


 少し眠いのか欠伸が出てしまう。しかも明日香と同時に。お互いに苦笑いしてしまう。


「こういうときもそっくりなんだな」

「相変わらず相性がいいのね」


 一樹と加奈にからかわれる。アリスは、眠いのかうとうとして舟をこいでいた。


「昨日は夜遅くまでやったから眠くて」

「私もいつも以上に励んじゃったかも」

「一樹たちは眠くないの。アリスだってあの調子なのに」

「俺たちは体力があるからな」


 因みにこの場所が食堂ってだけあって多くの生徒に聞かれており、あらぬ誤解をされているが、僕たちは気づくことはなかった。


 朝食を食べ終えた僕たちは出かける準備をするべく部屋に向かって歩いていると、明日香が、


「渡月橋って行ってみたいんだけどいい?」

「渡月橋か。確かに有名だもんね」

「渡月橋って嵐山の方にあるんじゃなかったっけ。でも、昨日銀閣寺に行くときに見渡った覚えないな」

「タクシーで移動してたから見逃したかもしれないけど」

「グーグルマップで調べてみるわ」


 加奈がスマホを取り出して地図アプリを起動して渡月橋を検索する。


「思ったより距離があるわね」

「ダメだったらいいからね」

「明日香が行きたいなら行こう。別にいいよね」


 明日香が思いかけない言葉を聞いたというように僕のことを見てくる。


「そういうと思ったわ。まあいいんじゃない。行きたいところは行っといたほうが後悔ないしどうせならみんなと思いで作りたいもんね」

「そうと決まればすぐに準備して少し早めに出るぞ」


 みんなが部屋に急いで戻る中、明日香が耳元で「ありがとね」とささやいてきた。少しくすぐったかったが、明日香を見ると少しはにかんだ笑顔を見せて部屋に戻っていった。

 僕はその明日香の笑顔を見れて、言ってみてよかったと心の底から思うのだった。


 それから十分ぐらいしたところでみんなロビーに集まったので出発した。因みに時刻は午前八時五十分を回ったところだ。


「太秦映画村の方が近いから先に行ってから渡月橋に向かおうと思うけどいい」

「いいよ」

「いいんじゃないか」

「特に反対はないようだから行くわよ」


 加奈の号令の下、太秦映画村に向かうことになった。こういう時の加奈は、すぐに物事を決めてくれるからとても頼りになる。こういう人がリーダーシップを発揮するんだろうな。生徒会長とか興味ないのかな。ま、聞いたところでそういうめんどくさいことはやりたくないって言われそうだけど。

 

 ホテルを出るとき、ちょうど姫川君たちの班も出かけるところだった。聞いたところこれから奈良の方に言って鹿とたわむれるそうだ。

 僕たちは、動物や神社仏閣にそれほど興味がなかったので今回は奈良に行く予定はない。神社仏閣は初日に京都で満喫してしまった感もあるからかもしれないけど。

 午後からは大阪を観光しておいしい食べ物を探しては食べ歩くかもしれない。


 僕たちは、京都駅に向かった。

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