第57話 バーベキューの後はお待ちかねの・・・・・・
僕達は体や髪が海水でべたついていたので近くにある銭湯でサッパリしてから別荘に戻る。
中に入ると、香ばしい匂いが漂ってきた。その方向に進むと、バルコニーで母さんたちがバーベキューの準備をしていた。
「おかえりなさい。もうすぐ準備ができるからみんな手を洗ってきなさい」
僕達は洗面所で手を洗うと早速バーベキューをするべく薪をくべてマッチで火をつける。
「わぁぁぁぁ! これどうしたんですか!」
珍しく葉月の興奮した声が聞こえた。
どうしたんだ? とみんな近づいていくとテーブルの上にある材料を見て加奈も声を上げた。
「これ伊勢海老じゃないですか!」
「そうなのよね。直売所に売ってたから思わず買っちゃった。伊勢海老を肴に飲むビールって格別じゃない」
明美さんがそう言って手に持ってる缶ビールを掲げる。
「みんなは未成年だから酒を飲んだらダメよ」
明美さんから注意が入る。言われなくても飲むつもりはないがそんなにお酒は美味いのだろうか。あと数年したら分かるようになるか分からないが二十を超えたら飲んでみようかなと思った。
バーベキュー用のコンロが温まったところでみんなが思い思い食べたい食材を焼きだす。鶏肉が岸に刺さったものや牛肉、豚肉に玉葱やピーマンなどの野菜、ウイナーまである。しかも溶けだしたチーズをかければ美味かった。伊勢海老だけは数がないので身を取り出してみんなで均等に分けた。それからしばらく思い思いに食べ終わった。
「結構うまかったからいっぱい食べちゃった」
「私もいっぱい食べちゃったな」
明日香がお腹をさすっている。
僕の視線に気づいたのか両手でお腹を隠して、「み、見ないで」と訴えてきた。
「別に気にするほどじゃないと思うけど」
「女の子はちょっとでも体重が変化するのを気にする生き物なの!」
ならそんなに食べなければいいのに・・・・・・という言葉が口から出そうだったけど直前で飲み込んだ。わざわざ墓穴を掘って空気を悪くすることは無い。
「二人イチャイチャしてるところ悪いけどお待ちかねの
「べ、別にイチャイチャなんて・・・・・・」
「イチャイチャはしてないって・・・・・・催し?」
僕が聞き返すと加奈はよくぞ聞いてくれましたとばかりに腰に手を当て踏ん反り返っている。
「夏の定番といえば肝試しするわよ」
「「いっえーい!」」
葉月とひよりちゃんがハイテンションで盛り上がっている。加奈も満足げだ。
「じゃぁ、さっそく外に行きましょう」
みんなゾロゾロと出て行く。僕もみんなに続いたところで椅子に座ったままの明日香に気付いて声をかけた。
「みんな外に行ったけど、行かないの?」
「えっ!? い、行くわ。さっさと行くわよ、翔琉君!」
変なテンションで外に向かう明日香。何か足下がおぼつかないようだけど・・・・・・それに少し震えてたような
僕はすぐに明日香の後についていった。
因みに母さんたちは後片付けなどして参加しないらしい。
「もしかして怖いの」
って聞いたら二人とも「いい年下おばさんが怖がっても需要がないの。若い人たちでやって意味があるの」と力説されてしまってはそれ以上何も言えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます