第47話 今日の予定
僕は、あまり寝つきが良くなかったせいで早く起きてしまった。部屋にある時計を見ると午前六時を少し回ったところだ。隣のベッドを見ると、一樹が
一階に降りると、母さんと秋穂さんが台所で朝食の準備をしていた。そして、リビングで明日香が皿を並べていた。まさかもう起きているとは思わず僕はその場に立ち止まって二の足を踏んでいた。昨日のことがあってか思うようにいけない。だけどこのままじゃダメだと意を決して明日香の方に近づくと、明日香も気づいて僕の方を見る。僕は恐る恐る挨拶をする。
「お、おはよう。明日香」
「・・・・・・おはよう、翔琉君」
まだ恥ずかしそうだが何とか挨拶を返してくれた。
「起きるの早いんだね」
「・・・・・・何かあまり寝れなくて」
「・・・・・・そ、そうなんだ」
その時、お盆に卵焼きと漬物が入った器を乗っけて母さんが現れた。
「二人ともぎこちないわよ」
誰のせいだと思ってるんだ。僕は握りこぶしを作ってこの母親を殴りたい衝動に駆られる。実際はしないけど・・・・・・だけどそれぐらいの怒りがあることを理解してほしい。
「はあ、僕も手伝うよ」
僕は怒りを鎮めるように息を吐くと、出来上がった朝食をテーブルに並べていく。
ガチャッ
音がした方を見ると、ちょうど葉月が朝食の匂いにつられたのか部屋から出てくるところだった。まだ眠いのか欠伸をしながら階段を降りてくる。
「おはよ・・・・・・お兄」
「おはよう。まだ眠いなら顔を洗ってくれば」
「・・・・・・そうする」
葉月は顔を洗いに洗面上に向かっていった。
「寝ぼけてる葉月ちゃん可愛いね」
「そうだね」
明日香がいつもと変わんない感じで話しかけてきてくれてホッとした。まあこれ以上母さんたちに余計な事されたくないもんな。
「確かに葉月ちゃん、可愛いわね。ひよりにもあのお淑やかな感じが少しでもあればね。明日香もそう思わない?」
秋穂さんがご飯が入ってる茶碗を置きながら聞いてくる。
いつの間にかそこにいてまるで気配を感じなかった。前世が忍者だと言われても信じてしまいそうだ。それほどまでに話しかけられるまで気配を感じなかった。その証拠に心臓がバクバクと鼓動をたてている。
「確かにひよりは黙ってたら可愛いのに口を開けばうるさいもんね」
「二人ともひどい!!」
その声の方を見るといつの間にかひよりちゃんが立っていた。
「あんまりだよ。ウッゥ・・・・・・」
ひよりちゃんが泣きまねをしている。まあ親族からこんなことを言われたら悲しいよな。本人は気にしてないようにも見えるけど。
「ごめんごめん。ひよりには特別に卵焼き大目に上げるから許して」
秋穂さんのその言葉にひよりちゃんの表情がみるみる明るくなって、
「やったー!!! 顔を洗ってくるねー」
あまりにも嬉しかったのか洗面場まで駆けて行った。
物でつられるなんてそれでいいのか。ひよりちゃん。
気を取り直して朝食を並べ終わるころにみんな起きてきて席に着いた。
朝食はご飯に味噌汁、卵焼き、焼き魚に漬物とこれこそ日本人だという物ばかりだ。普段朝は食パンを食べてた僕からしたら嬉しい限りだ。
朝食を程よく食べ終えたタイミングを見計らったように秋穂さんが口火を切る。
「今日の予定どうする? 私と明美は近くにあるアウトレットに行こうと思うんだけど・・・・・・」
「私は海で泳ぎたい」
「そうだね。そのために新しい水着買ったんだし」
ひよりちゃんと葉月はそれ一択しかないていう感じだ。
「私も海かな」
「はやく新しい水着、翔琉に見せたいもんね」
「加奈ちゃん!? 何で知ってるの」
明日香が動揺したように取り乱している。その様子を見て、加奈はニヤ〜と、シテヤッたりな顔をする。
「ヤマ張っただけだけど当たっちゃった」
明日香は口をパクパクさせて二の次が言えない。
「大丈夫よ。私も新しいのを買ったから。私達で二人を悩殺しましょう。二人共、覚悟しててね」
「楽しみにしているよ」
僕は頷くことしか出来なかったのに、一樹はちゃんと会話を返している。流石に場馴れしているやつは違うと思った。
「何か私達がいること忘れてません」
「気にするだけ無駄よ。ひより」
「「はぁ~・・・・・・」」
葉月達は呆れたようにため息をついている。
「(私も早く彼氏が欲しいな〜)」
ひよりちゃんが呟いている。
まだ、彼氏つくるの、諦めてなかったんだ。
こうして今日の予定は、秋保さん達、親チームはアウトレットでショッピング、僕達子供チームは海で遊ぶことが決まった。
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