第39話 明日香の趣味が垣間見える。
僕達は家がある春日部をスタートして、国道十六号を走り、岩槻の東北自動車道に向かう。高速に乗ったら川口から首都高に乗り湾岸線、アクアラインを通って木更津に行く予定だ。順当にいけば午後一時までには着くだろう。だが、予定通りには進まないものだ。予想以上に十六号が混んでいて高速に乗るのが一時間ぐらい遅れた。トラックが多く見られた。僕達学生は夏休みでも社会にとっては平日だ。仕事であっちこっち動いてるに違いない。そんなことから高速も混んでるのかと思ったがETCを通るとすんなり本線に合流できた。東北自動車道はすいてるようだ。このさきもこのままならいいが・・・・・・
高速に乗って順調に名が得ていく景色を眺める。東京方面にめったに行くことないから建物を見るだけでも新鮮だ。東京スカイツリーも大きく見える。家からも見えるがこんなに大きく見たのは初めてだ。
「うわ~、スカイツリーをこんなに目の前で見たの初めてかも」
さすがは兄妹というか葉月も同じことを思ったようだ。
「えっ!? できてから十年は経つと思うけど東京に遊びに行かないの? 私とお姉ちゃん、一回上ったよ」
ひよりちゃんはそんなことを言いながらポッキーを一本ずつみんなに配っている。
「私も行ったことは無いかな。翔琉と一樹は?」
加奈がポッキーを
「小学の時に東京タワーに行ったきりかな」
「右に同じく」
「じゃぁ今度みんなで行きません?」
ひよりちゃんが提案してくる。
だけどみんな微妙な顔をした。
「どうしたんですか?」
「私、高いところダメなんだよね。実は・・・・・・」
加奈が申し訳なさそうに言っている。僕達は知ってたからやっぱりな勘があるけど知らない人からしたらギャップがあって戸惑うかもしれない。見た目陽キョラだしこういうこと好きそうだもんな。
「一樹さんとお兄さんはどうですか?」
「俺は興味ないかな。外から眺めるだけで十分だ」
一樹がもとのこともないことを言う。
「僕も東京に行くなら秋葉原行くかな」
「そういえばこの前お姉ちゃんも秋葉原に買い物行ってましたよ」
「へ~以外。秋葉原は電気街だし今はアニメやゲームのグッズぐらいしか見ないのに明日香も行くんだ~。でも漫画の話あんまり聞かないのに実は好きだったとか。私は偏見ないし昔から翔琉の影響でそれなりの作品は知ってるから今度そういう話しようか?」
「私も結構詳しいですよ」
加奈と葉月が目をキラキラさせて明日香を見る。この二人は僕の影響で大抵の話にはついていけるだろ。こちらの沼にようこそ・・・・・・
「それで明日香は何が好きなの。何だったら今度アニメの映画でも見に行かない?」
捲し立てている加奈に明日香はたじたじになっている。ここが車の中じゃなかったら今にも明日香の肩に手を置きそうな勢いだ。
「何言ってるんですか。好きも何もお姉ちゃんはコスッ――フゴッ!?」
明日香がどこから取り出したうまい棒明太子味をひよりちゃんの口に突っ込んだ。
「ふぁ、にすふんですか。おふぇちゃん」
「ドンキ! ドンキに買い物に行ってたの!!」
「ドンキってドン・キホーテ? 春日部にあるのにわざわざ秋葉原に? 何で?」
加奈のもっともな疑問に対して、
「そ、それはそこの店舗にしかない限定物が欲しくて・・・・・・」
「それって何?」
「内緒」
「え~、気になるな~」
加奈がスマホを取り出す。調べる気だ。
「明日香~。限定物の情報でてこないんだけど?」
「期間限定だったから終わったのかも」
「え~」
加奈がしょんぼりしている。僕もちょっと期待しただけにガッカリだ。
「お姉ちゃん、有名なコスプレイヤーだってこと言ってないの?」
「だって恥ずかしいし」
「あんなに大勢の人に囲まれてる人がそれを言う」
「あれは知らない人だから優劣間に浸ってそのキャラになりきれるけど知ってる人に見られるのはなんか違うの!」
「そういうもん」
「そういうもんなの」
明日香とひよりちゃんが何かコソコソ言い合ってるけど後部座席に座っている僕には内容を聞き取ることはできなかった。
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