第32話 明日香の妹は小悪魔だった
はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・
僕達はどれぐらい走ったか。ファミレスから逃げるように走ってきたため、ここがどこらへんか分からない。とりあえず自動販売機があったので飲み物を買って息を整える。
「しばらくあの店にいけないな」
「お姉ちゃんのせいだよ」
「もとはと言えば葉月の所為でしょ」
「最初に冗談だっていったのにお姉ちゃんが突っかかってくるから」
「だって、翔琉君が鼻の下を伸ばしてるのを見たら彼女として黙ってられないじゃない」
えっ!? 僕、鼻の下伸ばしてたの。平常心を貫いてたつもりなのに。
「お兄さん。まるわかりだったよ。だから調子に乗っておねえちゃんを
ひよりちゃんが流石にやりすぎたと思ってるのか頭を下げてくる。
僕はハァーと溜息をつくと、
「気にしてないからいいよ。それになんか刺激的で楽しかったしね」
そう言ってひよりちゃんの頭にポンと手を置いた。
「お兄さん」
「あ、ごめん。昔の癖で。もうこんなことやられるの嫌だよな」
「そんなことないよ。何か安心する」
「そうか」
明日香はそんな僕達を尻目に自分の胸に手を当て、
「一年ぐらい前まではひよりと大差なかったのに何で私のは大きくならないんだろう」
「えっ、僕は明日香の胸がちょうどよくて好きだけど」
「えっ!?」
明日香は何を言われたのか分からなくてポカンとしてたが理解したのかだんだん顔が赤くなっていく。
それを見て僕は自分の失言に気付く。
「い、いや、今のは言葉の
「・・・・・・ありがとう」
僕があたふたしてると明日香からボソッとお礼を言われる。あまりの恥ずかしさで二人とも顔が真っ赤だ。その様子を見ていたひよりちゃんは、
「お兄さんはお姉ちゃんにぞっこんだね。私も次の恋、探そうかな」
次の恋って今まで恋してたってことかな。聞いてみようかなっと思った時、
「やっと見つけた。さっきの店にいないから探したんだよ。お兄もひよりにも携帯繋がらないし」
携帯を確認したら確かに葉月から着信が入っていた。いろいろあってそれどころじゃなかったから気づかなかった。マナーモードにしてたし。
「心配してたわりにはいいもの食べてるな」
葉月は手に某アイスショップの ポップロックキャンディが弾けるアイスクリームを食べている。
「みんなを探してたらおなかすいたから食べてるんだよね」
「・・・・・・お前、太るぞ」
僕のその言葉に葉月はアイスを舐めるのをやめて、ジトッとした目で見てくる。
「――お兄、言っていいことと悪いことあるよ」
「お兄さんは女心を勉強した方がいいかもしれませんね」
「翔琉君。デリカシーなさすぎ」
葉月だけでなくひよりちゃんと明日香も僕のことを攻めてくる。何か不用意なことを言ってしまったようだ。女子には体系のことを言うのはNGと僕は自分の辞書に刻んだ。
「・・・・・・ごめん」
僕が謝ったことで葉月は気を取り直したようにアイスを食べるとごみをごみ箱に捨てて思いもよらないことを言ってくる。
「それにしても連絡つかないからてっきりひよりがオオカミになってお兄と明日香さんと三Pして楽しんでるのかと思ってた」
「そんなことするか!」
僕は突然何を言うんだ、こいつという目で葉月を見る。明日香も言われたことを理解したのかみるみる顔が赤くなって俯いてしまう。そんな恥じらう明日香も可愛いなぁ・・・・・・って違う。僕は首を振って思考を変える。
それにしてもこの妹はいきなりなんてことを言うんだ。いきなりオオカミだなんてひよりちゃんがオオカミなわけ・・・・・・ってあれ? 自分が言われたことだと思ったけど葉月の奴、ひよりちゃんのことをオオカミって言わなかったか。聞き間違いか?
そう思って葉月を見ると僕の考えが分かったのか説明してくる。
「お兄の勘違いじゃないよ。ひよりは昔からお兄のことが好きだったから彼女が出来たと知ったら自分の中のオオカミが暴走してあわよくば
「葉月! 言わないでって言ったじゃん!!」
「でも言わないとお兄、一生気づかないよ。他人のことには敏感だけど自分に関することは鈍感だから」
ひよりちゃんって僕のこと好きだったの。気づかなかった。今まで妹の中のいい友達としか見てなかったし。ていうことはさっき言ってた次の恋っていうのは僕には彼女が出来てたから新しい恋を見つけようってことだったのか。
「なんか、ごめん」
「謝らないでください。よけい惨めじゃないですか。――――はぁ~、それにしてもあんなにペタペタくっついたり胸を当ててたりしたのにあまりの無反応に自信無くしたんですからね」
「いや、アレはただのスキンシップだとしか思ってなくて」
「い、いくら友達のお兄さんだとしても好きな相手じゃないとあんなことできるわけないじゃないですか。もぅ、こんなことまで言わせないでくださいよ」
「言われてみればそうだな。気づかなくてごめんな」
「だから謝らないでくださいってば」
明日香が葉月の背後から近づき肩に手を置く。
「何、お姉ちゃ――――っひぃっ――」
「今まではしょうがないからいいけど今度翔琉君を誘惑したらその胸引きちぎるからね」
明日香のあまりの圧にひよりちゃんが無言でうなずいている。
「ひよりちゃん、罪滅ぼしじゃないけど何かしてほしいことある。僕に出来る事なら聞くよ。だけどあまり高価なものはやめてね」
「ならいいですか。心配しなくても物をねだろうってわけじゃありません。お兄さん、今度お姉ちゃんと市民プール行くんですよね?」
「そうだけど、何で知ってるの?」
「それです」
ひよりちゃんが指さすのは明日香がさっき買い物をした袋。その隙間からさっき買ったビキニがチラッと見えている。
「その市民プール行く日、私も連れて行ってください」
「ひより、さっきあれほど誘惑するなっといったのに忘れたのかな?」
明日香が手をニギニギしながらひよりちゃんに近づいている。恐怖を感じたひよりちゃんは僕の背後に隠れる。そして、僕の背中からひょこっと顔だけ出して説明する。
「受験生にも息抜きは必要だと思うんです。それに、せっかくの休みならみんなで遊びたいじゃないですか」
「そうだね。みんないる方が楽しいし、一樹と加奈も誘ってみるよ」
「やった!」
ひよりちゃんが喜んでるのを尻目に明日香の顔が膨れている。
「どうかした、明日香?」
「別に!」
「!?」
何か不満なような気がするが分からない。
「鈍感なお兄ですみません、明日香さん」
「はぁ~、まあ分かってたことだから・・・・・・」
何、葉月は明日香の気持ちわかるの!? 教えてほしい。
「そういうところだよ、お兄」
僕の考えてることが分かったのか葉月に諭されてしまう。
「葉月~、私たちも水着買いに行こう」
「はぁ~、こんなお兄だけどよろしくお願いしますね。明日香さん」
「分かったわ。それに元はと言えばひよりの所為だしね」
葉月はひよりちゃんと水着を買いに行ってしまった。残された僕達は特にすることがなかったので、
「じゃぁ、帰ろうか」
「ツーン」
あれ、まだ機嫌が悪い。
「あの明日香さん」
「(二人でいきたかったな)」
明日香がボソッと言ったことで全て悟った。二人でいきたかったのに僕はひよりちゃんの誘いを断るところか受け入れてそのうえ、翔琉と加奈も誘うと言ってしまった。なんて迂闊なんだ。葉月も鈍感ていうはずだ。
「ごめん、明日香。今度この埋め合わせするから許して」
僕は頭を下げる。明日香の表情は分からないがこれでダメだったら、もし嫌われたらどうしようとよくない想像が頭の中を駆け巡る。
「――クスッ。 別に怒ってないよ。二人でいきたいのも本当だけどみんなでいくのも楽しいだろうしね」
「この埋め合わせは必ず」
「あまり期待しないで待ってるね。じゃぁ、帰ろうか」
僕達は手を繋いで帰路に着くのだった。
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