第19話 明日香の思惑

 私は、今日ゲットしたフィギュアたちを並べていた。そして、真ん中には写真立てが。先ほど、スマホから画像を送りプリントアートしたのだ。翔琉君と一緒に写っている写真を。

 それにしても、翔琉君があんなにUFOキャッチャーがうまかったなんて知らなかったな。つい、三千円も使った時はやめとけばよかったなーと後悔したけど、その後翔琉君が何体も取ってくれた。私は一体も取れなかったのにだ。あの時は悔しかったけど元は取れたと思う。今度またやるときはコツでも聞こう。

 私が翔琉君をプリクラに誘ったのは理由がある。今日、彩ちゃんからいいことを聞いたのだ。機械の指示に従えば合法的に抱き着いたり手をつないだりできる。場合によっては、キッ、キキキキス、出来るかもしれないって・・・・・・キャァァァァァァァァァッ!!!

 想像するだけで顔が火照ほてってしまう。

 手をつなぐことはゲームセンターに入るときに叶ってしまったけど。あの時、翔琉君が勘違いしてカラオケ店に入ろうとしたから慌てて手を掴んでゲームセンターに引っ張っていったのよね。咄嗟だったとはいえ、大胆なことしてしまったなあと翔琉君の顔色を窺ったけど満更でもなさそうだったし良かった。あそこでいやそうな顔されたら立ち直れそうにない。ただでさえ、失恋して三日三晩寝込んだことがあるんだから。自慢じゃないけど。それにしても、翔琉君はカラオケの方が良かったのかな。今度誘ってみようかな。私のレパートリーはアニソンメインだけど翔琉君なら受け入れてくれると思う。私のフィギュア愛に引かなかったぐらいだし、それどころか私が欲しい景品をあんなに取ってくれるんだもの。

 そして、UFOキャッチャーにのめり込みすぎて忘れそうになったけど、当初の予定通り、翔琉君をプリクラ機に誘導することができた。

 中に入って、コースを選択してるときは画面に集中してて気づかなかったけど、横を見ると翔琉君の横顔があった。一緒にいるから当たり前なんだけどプリクラ機の中があんなに狭いとは思わなかった。意識しだしたら心臓がバクバクで何も考えられない。何とか平常心を保つことにいっぱいいっぱいで指示されたことを出来たかよく覚えていない。終わった後の翔琉君の態度におかしかったことは無かったからうまくできたと思いたい。出ないと私の心臓が持たないから。


 ブーブーブー!


 ビクッ!


「ビ、ビックリしたー。メールかー」


 スマホが震えた音だった。マナーモードにしてたことを忘れてた。寿命が縮まる思いでスマホを見ると、翔琉君からメールが届いていた。


『今日は楽しかった。また、遊びに行こうね』


 と、短い文章だった。だけど私には好ましかった。長文で送られてきたら、長い文章で返さないといけないプレッシャーに苛まれそうだ。私は、返信を打った。


『私も楽しかったよ。次は、どこ行きたいか翔琉君が決めてもいいよ。私は翔琉君と一緒ならどこでも楽しいから。じゃぁ、お休みなさい』


 私は送信ボタンを押してから、恥ずかしいセリフ書いちゃったと思ったが、時はすでに遅し・・・・・・忘れようと布団に入る。思いのほか疲れていたのか、直ぐに睡魔が押し寄せてきて、深い眠りにつくのだった。

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