第17話 僕の幼馴染達は両思いっぽい
放課後
僕は帰り支度を終えると明日香の席に向かう。今じゃこのクラスでは僕と明日香が付き合ってることは温かく見守ってくれてる。僕は彼女だけではなくクラスメートにも恵まれてるようだ。
「帰ろうか」
「ちょっと待ってね」
明日香は教科書をカバンに詰めている。中には参考書チラッと見える。カバンがパンパンになり見るからに重そうだ。
「重そうだから僕が持つよ」
「えっ!?」
明日香がなんか言う前にカバンを持った。
「あ、ありがとう」
照れくさそうにお礼を言ってくる。その時の恥ずかしそうに俯いてる仕草がグッときた。これからも付き合ってないと分からない仕草でグッときそうだ。僕は悶えすぎて死ぬかもしれない。今でも気を引き締めてないとすぐに表情がだらけてしまいそうだ。
「相変わらず仲がいいね」
「まったくだ」
話しかけてきたのは加奈と一樹だ。
「入れ替えたかいがあったわ」
「何が?」
明日香の問いに加奈が慌てたように両手を左右に振り、
「な、何でもない。・・・・・・私が入れ替えたなんて言えない」
(
「そういえば一樹、前に言ったこと覚えてる?」
「何のことだ?」
「ほら、前に言ったじゃん。僕に彼女が出来たら一樹も作るって。あれどうなった?」
僕が言ったのが聞こえたのか、まだ教室に残ってた者たちがこっちを見た。主に女子が。そういえば一樹はモテるもんな。今だに彼女がいないのが不思議ぐらいだ。やっぱり・・・・・・
「ああ、あれか。最近部活が忙しくてな」
「一樹、そんなこと言ったの。何だったら私が彼女になってあげようか?」
「えっ!?」
一樹の動揺ぶりに耐えられなかったのか加奈が笑いだす。
「あはははは、冗談だって」
「・・・・・・お、俺の心を踏みじみやがって。バカヤロー!」
一樹が教室から飛び出していった。
僕達は
「・・・・・・何あれ?」
「一樹は昔から加奈のこと好きだったからね」
「えっ!?」
あ、やべー、口に出てたわ。加奈の表情が固まってると思ったら、だんだん顔が赤くなってきている。これは脈ありか。一樹の恋も叶いそうだ。
「わ、私用事あるから帰るね!」
加奈が逃げるように教室を飛び出していった。
「あんな加奈ちゃんの表情、初めて見た」
「そうだね」
教室に残された僕達は何事もなかったように、
「帰ろうか?」
「そうね」
仲良く帰路に就いた。
教室を出る際にクラスに残っていた女子たちのすすり泣く声が。誰もがあれを見たら両思いだと思うもんな。ご愁傷様。僕は心の中で合掌した。
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