第8話 僕の学校一の美少女

 白鳥さんが帰ってどれぐらいたっただろうか。辺りが暗くなりはじめ、下校時間が迫っているときこちらに近づいてくる足音が聞こえ、勢い良く教室のドアが開いてそこには息を切らして両手を両ひざに置いている橘さんの姿があった。


「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・よかった。まだ学校にいてくれて」

「ど、どうしたの? さっきは急に走り出したりして・・・・・・」

「ご、ごめんなさい。いざとなったら恥ずかしくなって思わずあの場から逃げ出してしまったの!」


 橘さんが頭を下げてくる。


「べ、別に気にしてないから顔を上げて」


 こんなところ誰かに見られたら僕が橘さんをいじめてるみたいじゃないか。もしそうなったら僕は学校にいられなくなる。村八分みたいにされかねない。少しは自分の知名度を理解してもらいたい。


「そ、それで話って何?」


 僕はこの後の展開が分かるだけに緊張で喉が渇いできた。


「じ、実は聞いてもらいたいことがあって・・・・・・」


つ、遂に来た。橘さんも今から言うことを想像してるのか顔が真っ赤だ。それにしても橘さんと間ともに向かい合ったのは初めてかもしれない。よく見ると睫毛が長くてきれいだな~。まさか初恋相手が橘さんだったなんて白鳥さんから聞いたけど実感がない。それほど記憶の中の人と違うのだ。あまり顔を見るのも照れるので目線を下げていくと、そこには橘さんの制服の隙間から二つのたわわな果実が――――

 いかん、目をそらさなくては。

 橘さんは恥ずかしそうにモジモジしている。よかった。胸を見てしまったことに気付かれてないようだ。

 ようやく橘さんが意を決したように顔を上げた。


「あの、私、星宮君のことが好きなの! 私と付き合ってくれないかな!」


 橘さんは言い切ると不安そうに顔の前に手を組んで目をつむっている。


「い、いいよ。僕も橘さんと付き合えてうれしいよ」


 緊張で舌がうまく回らないが何とか返事できた。


「本当! よかった~」


 橘さんが胸を撫で下ろす。


「これからよろしくね」

「こちらこそ」


 こうして僕たちは付き合うことになった。

 橘さんは僕のこと覚えてるか分からないけど思う。それに僕はかけるの下駄箱に入れるつもりだったラブレターを白鳥さんの思惑で僕のところに来たことを知っている。橘さんは自分が間違えったと思ってるんだろうけど・・・・・・

 だけどそれを後悔させない様にしようと僕は誓った。

 今度こそ僕の青春ラブコメを始めるために。

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