親友の想い

 オレは、これから賭けに出る。

 その結果がどう転ぶか分からない以上、しゃくだがお前に協力を仰ぐしかないと判断した。



 お前なら、オレが渡したものが何か……もう分かってるよな?



 今のところ仕組みはさっぱりだが、レクトの武器が血なら、その血を攻略することで何かしらの活路を見出だせるだろう。



 オレは血を受け取ったところでどうにもできないが、お前なら現物さえあれば、色んなところに手を回せるはずだよな?



 オレがどうにか時間を稼ぐから、その間にレクトの血を解析しておいてくれ。



 ただし、オレにそれを報告するのはなしだ。



 賭けに出るって言ったとおり、オレはこのメッセージを送った後、奴の血を飲むつもりだ。

 そうなったら、いつレクトがオレを監視するとも限らないからな。



 レクトをごまかす必要がある以上、レクトの目がある場所でのオレは、徹底的に人間を憎んでいる必要がある。



 そのためにオレは、とことんお前の闇を揺さぶるつもりだが……死ぬ気で耐えろ。

 間違っても、お前までこっち側に来るんじゃねぇぞ。



 今後のオレには、今の自分のままでいられる保証がない。

 お前だけが、オレを原点に立ち返らせる頼みの綱だ。



 もし今後、オレが自分を見失って馬鹿なことをやるようなら……その時はお前が、ぶん殴ってでもオレを元の場所に引き戻してくれ。



 期待してるからな。



 それと、もう一つ。

 このこと、キリハには言うんじゃねぇぞ。



 秘密主義のお前が簡単に口を割らないのは分かってるけど、キリハには簡単に話しちまいそうだから、念のために釘を刺しとく。



 言ったらマジで殺す。



 ただでさえ今のあいつは、無駄なもんを抱えてしんどいんだ。

 このことで、あいつに余計な心労を加算したくない。



 レクトがあいつをどう使うつもりかによるが……オレは、あいつとは縁遠くなるかもしれない。

 その時は、お前がそれとなくあいつをフォローしてやってくれ。



 お前だって、分かってるだろ?



 あいつは博愛主義で裏表がないけど……嘘をつけない分、ごまかせないことは最初から言わないところがあるって。



 単純なのに、めんどくせぇ奴だよな。

 言えないことを溜め込みすぎたあいつがどうなっちまうのか、オレはいつも心配でならねぇよ。



 どうにかこうにかガス抜きはさせてきたつもりだけど、あいつは意外と口が堅い。

 あいつの本音を引き出すのは結構骨が折れるから、そのつもりで。



 頼むから、意地を張って突き放してくれるなよ?





 ―――あいつが目の前で崩れ落ちていく光景なんざ、もう二度と見たくねぇんだから……




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