(5)
「無関係な者を、我々の戦いに巻き込む気か……?」
若い女の声だが……男のような口調だった。
何故か……俺の本能は……声の主は……目の前に居る奴と同じかそれ以上に危険な相手だと警告を上げ続けていた。
意を決して、ゆっくりと振り向く……そこには……。
冗談だろう?
どうなっている?
もう一体居た。
しかし……一体目とは違っている点も有った。
いや……。
ただ、2つの点を除いては……「鬼面ソルジャーズ」の原作者・小野寺正一郎先生が構想したが、当時の撮影技術や予算の限界で実現出来なかった理想の「護国軍鬼」そのものだ。
シルエットは一体目とほぼ同じ。
ただ……ヘルメットには……「口」に見える意匠が有った。左右2対、計4本の牙が有る歯を剥き出しにした口。それが1つ目の点。
そして……胸には……「
だが……何故か……何故、この2体には違いが有るのか?
最初に現われた方は……撮影時に使われたスーツと同じくすんだ灰色。
二体目は……小野寺先生が構想した通りの鏡のような装甲。
まるで……わざと目立たせないようにしている色と……わざと目立つようにしている外見。
「お前たちとて不審に思っている筈だ……。ここは、我々と貴様らが戦いを繰り広げた無数の世界の中でも……特異だ……」
一体目は二体目にそう言った。
「馬鹿馬鹿しい。どの世界も唯一無二と云う意味では……他の世界に比べて特異な点が有る」
「見解の相違だな」
「その見解の相違が我々が戦い続ける理由だ」
「いっそ、ここで戦いを始めるか?」
「よかろう……。その言葉、宣戦布告と解釈させてもらう」
「Beast Mode Activated」
一体目が、力強く、そう叫んだ途端……。
「な……何だ……?」
答が返って来る筈は無いのに……俺は、そう声をあげた。
護国軍鬼の装甲の各部が開き……そこから、
「我、身命を愛さず、
二体目が静かな声でそう言った時、二体目にも同じ事が起きる。
二体目が唱えたのは……奴の胸に描かれている十文字。
その十文字には覚えが有る……。
子供の頃……。
熱心な日蓮宗の信者だった祖父が、毎晩、仏壇の前で唱えていた法華経の一節。
「しばらく、伏せていろ」
二体目は、俺にそう言った。
そして……二体の護国軍鬼の姿は消える。
ただ、時折、銀色の閃光が空中を
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