(4)
「何故だ?」
そいつは、若い男の声で、俺にそう訊いた。
「何故、俺達のような者が歴史の表に出て来ていない筈のこの世界で……その名が知られている?」
俺は……呼吸を整える。
判らない。
でも……判らない事は、とりあえずは後回しだ。
まずは、心を落ち着けねば……。
「何の事だ? 意味が判らん。何故……俺が、昔、出てたTV番組の怪人が実在しているんだ?」
「どう云う事だ? 何を言っている? お前は何も知らないのか?」
その「護国軍鬼」は……更に訊き返す。
判った事は……2つ。
1つ目。
どうやら、こいつも知らない何かの情報が有って……その情報を俺から聞き出そうとしているらしい……。
だが……残念ながら、こいつの当ては外れたようだ。俺は、その情報を……多分、知らない。
こいつが俺から聞き出したいのが、どんな情報なのか全く見当が付かない位に、何も判らない。
2つ目。
こいつの頭の大きさ……。
普通の人間の頭よりも、明らかに大きい。
バイク用のヘルメットより、更に一回りほど大きいサイズだ。
こいつが……あの時に見た撮影用のロボットでないのなら……こいつのヘルメットの中には、何かの防護具が有る……。
多分だが……こいつの頭をブン殴っても、バイク用のヘルメットを被ってる奴の頭をブン撲った時よりも、与えられるダメージは小さいだろう。
「待て……」
ゾワリ……。
背後から別の誰かの声。
多分……若い女……。
その女の声が聞こえた時、何故か、背筋が凍り付くような感覚が……。
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