第4話:あなたが頑張るおかたづけ

(SE)はたきでほこりをはたく音


モモ「朝から真面目だね……」


モモ「ふわあぁぁぁ……。

   眠くてあくびが出ちゃう……」


モモ「もともとカズマの家はキレイだったけど。

   キレイ好きのあたしから見たって、

   よくやるじゃんって思ってたけど! 」 


モモ「あたしのこと放っておいて! 

   いい度胸じゃない?

   どういうつもりなの? 」


モモ「なーんかさ。

   おうちでお仕事するようになってから

   ますますお部屋が綺麗になっていったよね。

   カズマ、掃除大好きだもんね」


モモ「ま、きれいなのはいいこと。

   あたしも超快適」


モモ「……でも。

   暇ーーーー!! 」


モモ「カズマ、掃除中は遊んでくれないんだもの。

   ねぇねぇ、何か今日めっちゃ気合入れてない?

   いつもはたきなんか使ってたっけ? 」


モモ「あーあ、暇だからルンバ回してくれない? 

   もう乗って待ってるんだけど。

   ルンバは動くとよく働くけど、

   スイッチ入れないと全然ダメ」


モモ「いつもみたいにおそうじの終わりまで

   スイッチ入れてくれないかなぁ。

   退屈。

   お昼寝でもしてようかなぁ」


---

(SE)書類を粉砕する音


モモ「うーーるーーさーーいーー!!」


モモ「いい感じの砥石が見つからなかったときの、

   あたしの爪とぎよりうるさい! 」


モモ「その箱に紙を入れたら、

   ふかふかの紙屑になって出てくるね!

   変なの~、すごーい! 

   うるさいだけじゃなくて、やるじゃん、その箱」


モモ「ちょっと紙屑に入ってみよ。

   ふかふかで気持ちいい~~~……」


(SE)書類を粉砕する音


モモ「でもうるさい!!

   ゆっくりお昼寝できないよ」


モモ「あと。身体にいっぱい紙の粉が付く……。

   ちょっと身体を洗っておこうかな」


---

(SE):換気扇を外す音


モモ「紙屑をかたづけたら、

   今度はキッチンなんだ? 」


(SE)清流板を外す音


モモ「そんなところまで開けるの? 

   へぇ~、キッチンで火が出るところの上って、

   そんな大穴が空いていたんだね。

   寒そう! 」


(SE):清流板を水洗いする音


モモ「水だ……。

   こっちにかけてこないでね」


モモ「大穴になんか隠すの? 

   板を洗ってるだけ? 」


モモ「おそうじに張り切りすぎじゃない? 」


---

(SE):風呂場で水を流す音


モモ「もっと水を使ってる……。

   本当、こっちに水かけてこないでね」


モモ「お風呂って嫌い。

   だって水がいっぱいなんだもの」


モモ「でも、カズマは毎日入るよね。

   頭までずぶ濡れにするよね」


モモ「信じられない。

   ニンゲンって自分のことずぶ濡れにしないと

   自分の身体も綺麗にできないの? 」


モモ「あたしは水に入らなくても、

   いつだって身体に磨きをかけて綺麗にしてるんだから!

   カズマも見習ってよね! 」


---

(SE)トイレを磨く音


モモ「じーーーーーっ」


モモ「ルナはニンゲンのトイレでするのが好きって言ってた。

   でもあたしはやだなぁ。

   水がじゃぶじゃぶ流れてて」


モモ「カズマもよくこんなとこでトイレできるよね」


モモ「そして、なーんか、念入りじゃない? 

   ここまで丹念におそうじする理由って……? 」


---

(SE):フライパンで肉を焼く音


モモ「すっごくいっぱい料理作ってるね!

   冷蔵庫はもう空っぽだよ!? 」


モモ「あーーーー!!

   分かっちゃった!

   絶対あれだ! 」


モモ「そんな予感はしてたけど!

   気付かないフリしてたけど!!

   明日はメイがおうちに来るんでしょう?

   そうなんでしょう?? 」


モモ「カズマはいっつもそうなんだから!

   あんまり料理しないんだよねーとか言って、

   冷蔵庫を空っぽにして、メイにご飯作ってもらうの! 

   嘘なの、あたし知ってるんだからね!! 」


モモ「まぁ、メイのご飯もちょっと美味しいから好き……

   なんて本人には言ってやらないんだから! 」


モモ「でも、なんで嘘をつくのかな?

   カズマは料理がとっても上手なのに。

   その辺り、メスにアピールしてもいいと思うのに。

   変なの! 」


---

(SE)ルンバの動く音


モモ「ルンバ乗らないのって?

   んー……。

   今日はもういいや」


モモ「だって今日はカズマと一緒に遊びたい。

   カズマにぴったりしていたい」


モモ「だって明日はメイとずっとくっ付いてるんでしょ? 」


モモ「明日はメイにあげるけど、

   今日はあたしだけのカズマなの」


モモ「あたしカズマのこと、大好きなんだもん。

   大好きなの。

   大事なことだから二回も言ってあげたんだからね! 」

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