第16話 遭遇!神代の怪物!

朝、窓から光が差し込み鳥の声が聞こえる。

今日も1番早く目覚めたのはアーリンだった。

アーリンが一休らを揺さぶり起こす。


「皆さーん、起きて下さーい。」

「ふわぁ、アーリンは今日も早いわね。」

「朝スッキリ起きられるのは羨ましいぜ。」

「そうじゃのう。」


皆が起きたのを確認し、一休が口を開く。


「さてと、今日は昨日で酒も買い終わった事だし、あの真ん中の塔に行ってみましょうか。」

「それは良いですね!」

「ああ!俺が案内するぜ!」


オイリーがそう言うので、一行は荷物整理と宿屋の勘定を済ませ外に出る。


「じゃあ行くぜ!」


そう言ってオイリーは外套を深く被り歩き出す。歩きながらオイリーが説明をしてくれる。


「水戯郷は大通りが4つあって、全ての道から中心の塔に行けるようになってるぜ。これ以上説明するとつまらなくなっちまうから、あえて言わないぜ!」

「ふーん。……それでその大通りはどこにあるのかしら?」

「そ、それは……。」


目を泳がせ言葉に詰まるオイリー、それを聞いて一休は問い詰める。


「まさか、迷ったのかしら?」

「そんなことは…あります。すいませんでした。」


それを聞いてため息をつく一休


「あんだけ大見得切っといて情けないわね。

はあ、しょうが無いわね。丁度いいしあれ使っちゃいましょうか。」


そう言って一休は懐から笛を取りだし吹く。

数分後、凄まじい勢いで一休達の目の前の道に昨日の巨漢のおっちゃんが現れる。


「おう、嬢ちゃん昨日ぶりだな!今日はどこまで行くんだ?」

「今日はあの真ん中の塔まで頼むわ。今日はこの猫含めて4人ね。」

「おう!水天閣までか。毎度あり!」


そう言って船に乗り込む一行。

船は今来ていた方向へ戻る様に進み出す。

一休は雨上がり晴れの空気ようにじっとりとした目でオイリーを見る。

オイリーは船の隅で体を縮めていたが、さらに縮めた。


家の合間を塗って、最終的に大通りに出る。

そのままスピードを落とさずに塔の前まで滑り降りる。そしてスピンしながら急停止!


「嬢ちゃん達到着だ!」

「ありがとう、おっちゃん。これは代金とチップよ。」


そう言って10000妖銭程を渡す一休。さしものおっちゃんもそんなには貰ったことがなかったらしく、


「ぜひまたご贔屓に!」


と言ってホクホク顔で帰って行った。


塔の中は、中心で水が常に上に向かって流れている柱が1つあり、床全体が蛇の鱗のような模様をしている。


「一休ちゃん!わたし上に昇ってみたい!」


アーリンが少し興奮気味にそう言う。それを見て一休は


「じゃあ試しに上に行ってみましょうか。」


と言い部屋に脚を踏み入れ、中心に向かって一行が歩き出すと、突然地面が激しく光りだした。そして床全体が大きな穴となる。誰も空を飛べない為、少し空中で手足をばたつかせるのみで抵抗も虚しく落ちていった。


しばらくして暗闇の中、最初に口を開いたのは一休だった。


「ここは……?」

「一体どういうことでしょう?」


周りからは何か硬いものが床に擦れているような音と、シューシューという音が聞こえる。

天井はふさがり、暗がりの中で分かるのは光の球が16個浮かんでいることのみである。


「あれは一体なんでしょうか?」


そう言ってその光の玉の方へ近寄っていくアーリン。

ふと、とてつもなく嫌な予感がして一休はアーリンを抱えて横に跳ぶ。

ガチン、という音が先程までアーリンがいた空間から聞こえてくる。


「ここ、何かいるわね…。このままじゃ危険だし、あれを使いましょう。」


そう言って一休は術を発動する。


「狭域環境変化・白夜!」


するとたちまち周囲が明るくなり、この空間の全容が明らかとなる。


「これは……!」


部屋の中には八またにわかれた首を持つ大蛇が居た。


「シャアアアアアアアアア!」

「あれは、八岐大蛇じゃのう。一休。」

「ええ、そのようね。探す手間が省けて好都合だわここで倒してしまいましょう。」


その言葉を聞いて憤ったのか、八岐大蛇はその鎌首を持ち上げ一斉に襲いかかってきた。


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