21. 少女漫画ではありません!
〜夢望said〜
慌ててメガネをかけ、玄関を開けようとドアノブに手を掛けた私は玄関の段差で躓き、ドアに向かって体当たりしてしまった。しかも、急に外側に開いた衝撃に耐え切れず、運悪くドアノブから離れる手。そのせいでそのまま勢い余って外の客に突進していく形。私の視界の端には自分の飛んでいく眼鏡が映ったような気がした。
ドスッ……
「うわっ!?」
訪問客は慌てて飛び出してきた私を受け止めた為、抱きしめるような体勢になって慌てている。しかし、私はそんな事よりも先程の声の主が気になっていた。
『今の声……歌い手のskyさんにそっくり……』
期待と不安が入り混じった面持ちで恐る恐る顔を上げると、そこには見慣れた幼馴染兼クラスメイトの顔が気まずそうな表情で立っていた。
「そ、
「申し訳ないが、その俺の背中に回った手を退けてはくれないか。」
「あっ……ご、ごめんっ。」
クラスメイトであり、海の兄である空は私が手を離したのを見計らって、足元に落ちた眼鏡を拾い上げた。
「はい、眼鏡。」
「ありがとう……。」
なんとなく気まずい雰囲気で二人とも視線を外す。小学校では登校も一緒で、まるで兄弟のように過ごしていた。私なんて何度泣かされた事か。しかし、中学、高校と成長するにつれて部活やテストなどに忙しくなり、疎遠になりつつあった。最初は廊下ですれ違ったときに降っていた手や挨拶すら今となってはどことなく気恥ずかしく、やめてしまっていた。
『空がうちに来たの、いつぶりだろう……。』
そう私は考えたが、今となっては『空』と呼んで良いのかも危うい。
「あ、あのさ。」
私はそっと口を開いた。
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