17. 爆弾……?

「ダ、ダイナマ……?」


僕は突如出てきたその単語を繰り返す。


爆弾ダイナマイト。」


麗野が携帯から目を離し、くるりと回る椅子を足の力で回し、こちらに向き直った。


「姉さんの素顔を見ると、大抵の人は惚れちゃうんだよ。」

「それでついたあだ名が『爆弾ダイナマイト』なんだよねー。」

「それは言わないでよー……。」

「ごめんって〜アハハハー」


えーっと?……ん?まるで運動会で転んだ、とでもいうような可愛らしいエピソードを披露している雰囲気になっているが、なんだって?惚れっ、え?


麗野三姉弟の面白ジョーク(?)に僕の脳はついていかない。


「でもっ。」


麗野が椅子からすくっと立ち上がり、引きつけるように僕の肩を組んだ。そして、空いている方の手で僕の頬をぶにっとつまんだ。


「ひょい。れいの、やめろくだひゃい。」


そんな僕の必死の訴えを無視して、麗野は話し続けた。


「こいつは姉さんと昔からの知り合いだからさ、惚れねぇつー訳。」


希のアーモンド型の目が大きく見開かれる。


「え?知り合いっ!?」

「あっ!?まさか、夢望ちゃん!?」


希くんと僕の声が重なった。皆が一斉にこちらを向く。僕の脳内で僕の頭の中で昔遊んでもらった、兄と同い年の少女と目の前の女性が結び付く。そういやいつも兄に意地悪されて泣いてたっけ……。思い出すといたたまれなくなり、僕は少女に深々と頭を下げた。


「あ、あの頃は、いっ、いつも本当に兄が……ご迷惑をお掛けしまして……。」

「緊張しすぎだろ。」

「こ、こちらこそ弟がお世話になってます……?」


姉さんもかよ、という麗野のツッコミに対して笑い声が部屋に響いた。


そんなこんなで麗野三姉弟が揃ったのであった……。

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