16. 麗野家にお邪魔します

目をキラキラさせる僕に最初に吹き出したのは麗野だった。


「グフッ……アハハハッ!」


その後も次々と笑いだす人は増え、最終的に僕まで笑い出すという事態になってしまった。


「あー腹痛ぇーっ。」


そう言う麗野と笑い続ける僕、何でこんなに笑えるんだろう、と言いつつ笑う希くん。そんな僕らをバックミラー越しにドライバーさんが和やかな微笑で見ていた。


そんなこんなで麗野家につき、この時は誰もが幸せに包まれていると思った。爆弾ダイナマイトと呼ばれるあの人が来るまでは……


––––––––〜☆〜––––––––


「今日の先生の『華麗にトライ』めっちゃ面白かったー。」

「『華麗』が『カレー』に聞こえてさあ!」

「それは面白いっ。」


僕は麗野家にお邪魔して、話に花を咲かせていた……。そんな時、


「ただいまぁ……。」


希には帰ってきた姉がコートをハンガーにかけ、眼鏡を玄関の棚に置き、まとめてあった髪を下ろすのが見えた。


「おかえりー。」


あくびと共に挨拶を告げる麗野とは裏腹に、希は背中に汗が流れるのを感じた。


「あっ、ちょ……。姉さん!眼鏡……!」

「え?どうしたの?」


僕は首をかしげる。希の悲痛な叫びを無視するように、部屋の中に髪を下ろした可憐な少女が入ってきた。その顔に見覚えがあるような気がして、僕は眉を寄せる。


「あれ?お客さん?」

「あ…っと、その、どうも……お邪魔してま、す」


モゴモゴとコミュ障を発揮している僕の顔と姉の顔をチラチラと見比べる希くん。


「あ……れ?」


僕が傾げた首を元に戻したかと思うと、入れ替わりに希が首を傾げた。


「希くん……?どうしたの?」

「いや……。」


言葉を濁す希の代わりに麗野が携帯を見ながら気怠げに告げた。


「姉さんは爆弾ダイナマイトなんだよ。」

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