07. 嫌な予感

次の日彼女は学校を休んだ。理由は忌引きらしい。


忌引き……?


嫌な予感がした。昨日の彼女の表情が脳裏をよぎる。今日に限って部活があることを深く恨みつつ、ため息を一つついた。


「はぁ……。」


––––––––〜☆〜––––––––


部活が終わり、携帯の電源を点ける。彼女からのメッセージは、ない。


まぁ、そうだよな。


いつもは彼女の方から軽いジョークやどうでもいい話題を振ってくる、そのことに甘えていたのかもしれない。


『大丈夫?』


そう送信しかけて、消す。今の僕には聞きたいことが余り余る程に沢山あった。でも、何だか喉の奥がつっかえて上手く言葉に出来ない。


何してるんだ。打つだけ。打つだけなのに……。果たして、彼女はその質問を見た時にどう思うだろうか。傷つく?怒る?悲しむ?それとも僕からのメールなんて、何十件も来ている通知に埋もれた、既読無視で満足するべき、お情け程度の物となるのだろうか。


僕は三回程度打って消してを繰り返した挙句、またため息を一つついて携帯の電源を消した。


「……。」


無機質な黒い画面はうんともすんとも言わず、新たな通知を受け取ることすらしなかった。少しの間それを見つめ、歩き始める。しばし俯いた後、やがて顔を上げ、深く息を吸った。町や信号、車のライトが妙に煌めいている。昨日の名残りだろうか。厚い灰色の雲がその眩しさを吸い込むようにどんよりとした暗さを醸し出している。毎度ネガティブ思考を好むうるさい心の声は何も言わなかった。その代わり胃の辺りが重く、揚げ物を食べ過ぎた時のようなもどかしさが離れない。


「僕って要らないんじゃないか?」


誰も聞こえない程の小さな声でボソリと呟いた。


僕が褒められるのは可愛いばかり。皆どうせそう言って裏で嘲笑い、肝心の中身の味付けはうわべを見て知っている気になっているだけなんだ。


胃の辺りにあった感情が少しずつ漏れ出してくるのを感じた。

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