04. 撫でられた髪

「えーその反応可愛いー!」


先程心の中で可愛いと考えた、金髪ツインテの女子が僕の頭を撫でていた。慌てて手を振り払い、やってしまった、と思う。


やべぇ。こんなコミュ力が異常に高い集団内で粗相なんて犯したら何されるのか解ったもんじゃない。


しかし、そんな足をすくませた僕の考えは杞憂に終わった。


「いや、可愛いな!」

「振り払ったのとか萌えるわ。」


えっ?……は?


「てか髪サラサラだな!」


ツインテ女子は振り払われた事なんか全く気にしていないように僕の事を褒めてきた。


「でっしょー?可愛いっしょ!!」


彼女は変わらず自慢げに言う。皆のテンションとは裏腹に僕の心は疑問符でいっぱいだった。


可愛い……とは、何ぞや。


小学校の頃から背は高い方ではなかったし、女友達が居なかった訳じゃなかったが、「可愛い」なんて言われた事が無かったため、驚いた。ふふふ、と彼女がこちらに微笑みかける。僕は目を合わせないようにと慌ててそっぽを向いた。彼女の笑顔はまるで太陽のようで、素で目なんか合わせてしまった暁には失明するのではないかと思う程眩しかった。


––––––––〜☆〜––––––––


この日から僕は『ウミ』というあだ名をつけられ、グループの皆に親しまれるようになった。ほとんど覚えられていなかったクラスメイトの名前も必死に努力して覚え、ほぼほぼ一致するところまで頑張った。因みに、彼女の名前さえも覚えていなかった自分には心底ガックリきている。僕は元々、アニメや漫画などが好きな重度のオタクだったので話題には困らず、毎日を楽しく過ごしている。


「ウミって可愛いだけじゃなく、頼りになるし、いい奴だよなぁ……!」

「それな!優しいし、面白いし!」

「そ、そんなこと……ない、よ。」


僕の人気は右肩上がり。それを、嬉しさ半分、恐怖半分で見ていた……そんなある日。事件は起こった。

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