好きな人に告白しようと思ってる

でずな

告白



 私は同級生であり、大切な友達である美麗みれいのことが好き。

 一緒にいるとドキドキしたり、自然と美麗のことを目で追ったりしていたので、気づくことができた。

 好きだと自覚したのは、高校1年生の夏。今はもう高校2年生の夏。気持ちを伝えることができず、あっという間に1年が経ってしまっている。

 美麗のことが好きだけど、美麗からしたら私はただの友達。もっと仲良くなりたいけど、それ以上踏み入ったら引かれるんじゃないかと心配で歯がゆい日々。

 気持ちに素直になれない自分が大嫌い。

 だから私は、一歩踏み出すことにした。これは私にとっては一歩じゃない。

 なんせ告白しようとしてるんだから。


 美麗に誰もいない教室に待たせている。

 やっぱり告白なんてするべきじゃ……。

 パシッっとほっぺたを叩いて気持ちを入れ替える。

 私は告白を成功させに来たんじゃない。もちろん成功してほしいけど、ずっと隠してた好きっていう気持ちを伝えたいだけ。どう思われたっていい。


「ごめん。待たせちゃって」


「お。ようやく来た」


 オレンジ色の光が差し込み、スポットライトのように美麗のことを照らしている。机に腰を掛け、足をぶらぶらしている。いつも見ている姿なのに、幻想的に見える。


「美麗に、その、伝えたいことがあるんだけど」


「? あぁ〜この前言ってた遊ぶ日程のこと? 別に私はこの前バイトやめたし、いつでも……」


「そのことじゃなくて、すごく、大切なこと。ずっと言いたかったこと」


「あ、そう」


 美麗は私に怒られると思ってるのか、ビクビクしている。

 思ってることと真逆のことを言わないといけない。

 緊張する。うん。でも。


「美麗」


「はいっ」


「私は、ずっと、美麗のことが好き、でした」


「…………」


 沈黙が怖い。

 今、どんな顔をているんだろう? 困った顔? それとも気持ち悪い顔? 下げた頭を上げる勇気がない。

 結構長い間無言だ。


「えっと、美麗?」


「あ、あぁ……うん。ごめんごめん。ちょっとビックリしちゃって」


 あはは……と、笑って誤魔化してるけど私の目には困惑の色が見える。


「急に変なこと言ってごめんね。ずっと……出会ったときから好きで、この気持ちは隠そうと思ったんだけど、そうはできなかったみたい。もう忘れて構わないから」


「う、うん」


 これで、これでいいんだ。私が告白して、忘れてもらう。そうすればまた友達に戻れる。好きっていう気持ちを押し殺しながらまた、友達に。


「よぉ〜し! じゃあ今日はワッフルでも食べに行かない? この前美味しそうな場所見つけたんだよね」


「ちょっと待って」


 教室から出ようとしたら止められた。

 振り返った先にあった美麗の顔は、どこか思い詰めている。私が告白しなかったら、こんな顔することなんてなかっただろうに……。


「何?」


「私も好きだよ」


 時が止まった。「好きだよ」美麗の口からこんな言葉が出てくるなんて思わなかった。

 本気マジの顔。私のことを冷やかすような嘘じゃなさそう。


 一世一代の告白をしてスッキリしてた中、意表を突く言葉。

 こういうときは嬉しいって思えばいいのかな?

 気持ちの整理ができない。


「両思いってこと?」


「うん」

  

「いつから?」


「ずっと前。初めて喋ったときからかな」


「て、ことはずっとお互い片思いで、ずっも友達を演じてたってことだよね?」


「そういうことになる、かな? なるね……」


 お互い告白してスッキリした帰り道。

 話をすり合わせてみると、ずっとすれ違っていたことがわかった。好きっていう気持ちを伝えるのは大変……。


 告白した達成感で二人して忘れちゃってたけど、付き合うことになった。今は友人ではなく、恋人として過ごす日々。毎日が幸せに溢れている。もちろん喧嘩もするけど、嫌いにはならない。いやなれない。だって好きだから。

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好きな人に告白しようと思ってる でずな @Dezuna

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