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「すいません。」


 通りかかった60代くらいの男性に声をかける。


「ん?なんだい。」

「向こうに見える鳥居は、なんの神社ですか?」

「ああ、あれかい?あれは龍神さまのほこらだべさ。」


 ――――あれが、龍神さまの祠。


「どうして龍神さまをまつっているのか、知ってますか?」

 俺は、男性にたずねる。

「俺も、詳しいことは知らねぇんだわ。」

 男性は顎に手を当て考えるように言ってから

「でも、龍神さまは本当にいるらしい。」

 ――――会ってみればいいんでねぇんかい?

 そう言って男性は去って行った。


 俺は、来た道を引き返して公園を出て、祠のある対岸の方へ向かう。

 まだ開いてないショッピングセンターを通り、湖の対岸へ渡っていく。

 舗装されてない道をしばらく行くと、小さな建物――――ポンプ場が見える。


 石炭列車の踏切を渡り、森の中に足を踏み入れる。

 何かにみちびかれるかのような小道を辿たどると、木で出来た鳥居と小さな祠がそこにはあった。


 龍神さまはどうしてここにんでいるのだろうか?


 なんのためにこの湖を見渡しているのだろうか?


 俺は祠に一礼をしてから、森を出た。



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