梁太

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「眩しいな……。」

 バスを降りたと同時に俺は呟いた。


 早朝5時、5月の釧路くしろはやっと春が来たというのに、まだ肌寒くて上着が手放せない。

 ウィンドブレーカーの下にパーカーを着てきたのは正解だったかもしれない。


 駅が開いて、大きい荷物をロッカーに預け、トイレを済ませる。

 大学の後輩が手書きした地図を見て、目的地の行き方を確認する。


 ―――俺は、大学の研究のため、春採湖はるとりこへ向かうことになった。


 俺が取り組んでいる研究は、龍神と雨乞いの関係性についてだ。


 後輩曰く、かの湖には龍神さまが棲んでいるらしい。


 その噂の真偽を確かめるべく、5時間かけて釧路に来たまでだった。


 駅を出て、幣舞橋ぬさまいばしまで平坦な道を進む。


 橋を抜けたら、坂道をいくつか上ったり下ったりを繰り返し、住宅街の中にある大きな湖を見つけた。


 ――――春採湖だ。


 湖の方に近づくために、公園の方に足を踏み入れていく。


 湖に架かっている壊れかけた桟橋さんばしは、見ているだけで郷愁きょうしゅうが漂ってくる。

 さらに足を踏み入れると、自然が多く、ウォーキングをしている人が数名いた。

 もう少し中まで入って、湖の対岸の方を見てみると、鳥居が見えた。

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