【第二章】エメラリアの恋の病
「──ラリア、エメラリア、朝だぞ」
「んん……」
せっかく気持ちよく寝ていたのに、
(まだ寝ていたい……ここ気持ちがいいから……)
ふわふわとした夢の中で、エメラリアはそれに
「いつまでもそこにいられると俺が起きられないんだが」
トントンと
エメラリア──と再び誰かが名前を呼んだ。
(だれ……)
もぞもぞと頭を動かし、しつこく起こそうとする相手を見上げた。
「おはよう」
「……おはよう、ございます……?」
反射的にそう返す。
「………………え」
サー……と音を立てて血の気が引いていく。兄だなんてとんでもなかった。
はっきりしてきた視界に映ったのは、困り顔のアリステアだった。
エメラリアは彼の上に乗っかっていたのだ。しかも自分から
「だ──ッ!? だっ、だだだ、旦那様っっっ! 申し訳ございませんっっっ!!」
エメラリアは急いで彼の上から飛び
「うう、なんてことを……私いつから乗っていたのでしょうか!? ああっ、それよりも重かったですよねっ!? 本当に申し訳ございませんっっっ……!」
エメラリアの横には、
精霊と愛し子としての生活を
エメラリアは、まさか自分がこんなにふいうちに弱いとは知らず、普段の冷静さを欠く由々しき事態にほとほと困り果てる。
一方で、アリステアはそんなエメラリアの姿に、ふっと
「お前は朝から青くなったり赤くなったり
「そんな……!」
子猫はさすがに大げさだ。子どもだってそんなに軽くはない。
ところが、アリステアはその
「ひゃっ!」
「いつまでも下にいるのは
そうして彼の
エメラリアは、再び至近
(旦那様、キラキラしてる……)
カーテンから差し込んだ日が、アリステアの
時間にすればほんのわずかなものだったが、エメラリアを
単純に
「……エメラリア?」
急に動かなくなったエメラリアを不思議に思ったらしいアリステアが顔を
(ち、近い……!)
ぶわっと、まばゆいばかりの
(もう
「旦那様!」
「なん──うわっ!?」
ボフンッ──エメラリアはアリステアに勢いよく抱きつき、ベッドに押し
「好き、です」
すりすりと
「……そういえば、薬の効果が切れてるんだったな」
起きる前の体勢に
● ● ●
「それで?」
アリステアは紙にペンを走らせながら、わざわざここを
「それでって?」
「ここに来た理由だ。
手を止めて前を
エメラリアの
(……しっかり
アリステアも、エメラリアが自分の上で寝ていたときは驚いたものだ。
気が付いたのはまだ夜明け前のことで、すぐに薬の効果が切れたことは想像できた。
おそらく、起こして『離れてほしい』と告げれば、エメラリアは従ってくれたに違いない。
しかし結果的に、アリステアは無理に
なんといってもその幸せそうな寝顔ときたら。まるで
アリステアは、エメラリアが飛び起きて平謝りする姿まで思い出してしまい、つい口元が
だが、今は仕事中の上にそういう姿を
アリステアは急いで
「エメルから何か聞いた?」
そんな事情を知らないヴィオは、近くの
「お前たちの先祖について少し話をしたくらいだ」
「そう」
「そっちから話す気はないのか」
「昨日は俺が
仕事場と私用で
本当に自分から話す気はないらしい。それ以前に、アリステアが呼び止めなければ、ここに
あの
「では聞くが、一族のことがあるとはいえ、昨日の話を聞いた限りでもずいぶんと陛下がお前たちに対して
「一応、秘密を共有する仲だしね」
「だが、国を守るためとはいえ、ウェリタス家に
たったひとつの家が原因で、国が危険に晒される可能性だってあるのだ。その危険を考えれば、国の歴史そのものからウェリタス家が消されてもおかしくはない。それこそ戦争でも起こす気があるなら特別な戦力になるだろうが、間違っても今、そんなことを考える王族はいない。
「つまり、王国にとって利益になることがウェリタス家にはあるということ。昨日、話を限定したのは、それ以降はエメラリアに聞かせるつもりがなかったからだと
昨日の話を聞いて個人的に
ヴィオは満足気に目を細めた。
「ふふ、さすがだね。わかってるじゃん。エメルには、もともと仕事の話はあんまりしたくなかったんだけど、ある程度は情報がないと逆に危険だからね」
普段からふざけることが多いヴィオでも、妹のことは大切にしているらしい。わざわざ場所を選んで続きを話そうというのだから、
「仕事の話をする前に、もうひとつ。精霊の性質について先に話すよ」
ヴィオはそう告げて、猫のような自身の目を指差した。
「人間は少なからず見た目を重視するものでしょ? 自分好みの顔とかもあったりして」
「まぁ、そうだな」
よく部下たちが、誰が
「それに対して、精霊は外見に左右される生き物じゃない。その人の外側に
「……難しいな」
急に飛び出した
「まぁ、
「……わかりやすい説明をどうも」
「ああ、でも、
「なんだそれは……」
「愛し子の溢れる
「感情?」
「そう。特に
「それは……すごいというべきなのか……いまいち想像しにくいな」
「そうだな……こう……その人の周囲に黒いモヤモヤ~っとしたのが現れるって言えばいいかなぁ」
イメージを伝えようとするヴィオが顔あたりに両手を持っていき、もくもくと雲を
「心の中が
ヴィオは
「俺と父さんがやってるのは、そんな
つまり、危険因子の
「そんなことやってたのか……全然知らなかったぞ」
「だって、こっちもバレたら困るから。それに、言うほど大したこともしてないしね。俺たちは視るだけでわかるから、基本的に任されてるのは遠くから観察して、黒か白か判断するだけ。今は国も安定してるし、危険を感じるヤバい奴なんて
しかし、そこでひとつ疑問が
「質問なんだが、この仕事には
「もちろん。とはいえ、手放しで喜べるような能力じゃないからね。人の悪いところが視えるなんて。エメルも……今はなんともないけど、小さい
「そうなのか……まぁ、そんなものが見えたら怖いかもしれんな……」
「うん。だからあんまりこの話はしてほしくないかな。心配しなくても、
「ああ、わかった」
アリステアは考えるまでもなく
そうした理由は
「……はぁ。でも、今回
アリステアの返事を聞いたあと、ヴィオは
「先日
アリステアが心当たりを口にすると、声を出すのも
先日捕縛した奴らとは、アリステアにとっても思い出したくない、あの『精霊の
ただ、問題もあった。
精霊の香水のひとつが、すでに他人の手に
研究所の設備から考えても、指示を出していた人物がいたことは
そこまでの事情を知っているヴィオは、
「団長にさえ精霊の血を持て余してるのに、早期解決のために調査に協力しろって言うんだよ。失敗したら絶対
「あの方も人が悪いからな。だが、本当に無理なことはおっしゃらない。
アリステアなりに
「この仕事人間。家庭を
「お前な……」
正直、この先もしばらくは仕事
(
きっと今も
ならせめて、彼女の努力に見合うだけの仕事を自分もしようと、アリステアは書きかけの報告書にペンを走らせた。
「まだ起きてたのか」
ところが、深夜帰宅したアリステアを待っていたのは、ジャディスだけではなかった。
ジャディスの
「
「あ、ああ、ただいま」
意表を
「……エメラリア、わざわざ俺の帰りを待っていなくてもいいんだぞ」
時計の針はとっくに十二時を過ぎている。夜会でもない限り、みんな
アリステアは慣れない生活を、彼女に強いるつもりはなかった。
「旦那様が
しかし、エメラリアは当たり前だといわんばかりに答える。
その姿は、アリステアに
「そうか……わざわざありがとうな」
「いえ、私はこれくらいしかできませんから」
エメラリアは、本当に気にも留めていないようで
「…………」
ここまで尽くしてくれる妻になんの文句があろう。自分を思っての行動だ。
……ただ、なぜだか、もうひとり家令を連れている気分になった。
「旦那様?」
「あ、いや、なんでもない。それより──」
首を
そばでは、ジャディスだけがその様子を静かに観察していた。
● ● ●
エメラリアの
おかげで翌日の朝も、
朝食は嘘のようにゆったりとした時間を過ごしていた。
白いテーブルクロスに温かな料理が並ぶ。
こんもりと盛られた白パンとポッティド・ビーフは、アリステアの好物だ。彼に精をつけてもらおうと、エメラリアがシェフに
ぱくぱくと次々口に吸い込まれていく様子にエメラリアは嬉しくなる。
そうして自分もパンを食べていると、先に食事を終えたアリステアが話しかけてきた。
「このあとは何をする予定なんだ?」
「今日は、
「ニーレイクか。あそこは温暖で過ごしやすいのがいいな。それに
数回仕事で行ったことがあると、アリステアは話してくれた。
「確か、先日仕事で行かれた街──えっと、リザドールは、ニーレイクとの国境がある街でしたよね」
エメラリアは頭の中で地図を思い
リザドールは、例の
「ああ。リザドールとニーレイクの間は、
「釣りをなさるんですか?」
他の国では、貴族の
「こう見えて、けっこう得意なんだぞ。……まぁ、俺もやり方を知ったのは学生のときだがな。ヴィオに教わったんだ」
「お兄様が?」
ヴィオとアリステアが通っていた学校は
「お
「ああ。あいつはそれまで俺の周囲にいた貴族たちとは明らかにタイプが違ってたな。どこでそんなこと覚えたんだってことをたくさん知っていて、一緒にいて
「そうだったのですか」
アリステアが、ヴィオのことをそんなふうに思っていたなんて少し意外だった。
「絶対調子にのるから、本人には言わんがな」
アリステアは軽く笑い、
「釣りは、そのときに教えてもらったことのひとつだ。よく学校近くの池に行って、どちらが多く釣れるかなんて勝負もしていた」
気まぐれな素行が目立つ困った兄ではあるが、アリステアにとっては良い友人だったらしい。妹のエメラリアにとってもそれは嬉しいことだった。
「楽しそうですね……」
「釣りに興味があるのか?」
「あ、えっと……」
うっかり
エメラリアはヴィオとは
「何をそんなに
不思議そうにエメラリアを見るアリステアが、カップをソーサーに置く。
「そういうわけにはまいりません。
貴族が釣りを嗜む国があっても、主にそれは男性の話だ。
「エメラリアの言い分はわからないでもないが、俺は難しく考える必要はないと思うぞ」
「私は難しく考えているつもりはないのですが……」
アリステアの言うことのほうが難しい。
エメラリアがするべきことは、自分の意思とは関係なく、すでにかたち作られている。美徳とされる女性像を手本とすることが、自分の──
エメラリアが困っていると、アリステアの後ろで
「旦那様、奥様にもお立場がございますから、押し付けるようなことはお控えになったほうがよろしいかと」
「俺はそんなつもりはないんだが……いや、まぁそうか……エメラリア、すまなかった」
「い、いえ……! 私は
申し訳なさそうに
「それと、旦那様。そろそろ出仕のお時間です」
ジャディスが時計を指した。
「もうそんな時間か」
どうやら話に夢中になっているうちに、アリステアの出る時間が
彼が立ち上がるのと
「エメラリアはまだ食べ終わってないだろう。ゆっくり食べていて構わない」
「いいえ、お見送りも私の大事な役目です。こんな
「……わかった。お前がそう言うなら」
エメラリアの申し出に、アリステアは少しだけ
アリステアが
「今日も帰りは
「では、お夕食は先にいただいておりますね」
「ああ。そうしてくれ。それから、俺が帰るまで起きていてくれるのは嬉しいんだが、それだとお前がつらいだろう。昨日も言った通り、先に
「いいえ。
平気です、と意気込んでアリステアを見上げる。
アリステアは──
「まぁ……ジャディスにも言われたからな。今日はお前の意見を尊重する。それでも、無理はするなよ。……事情もあるんだ」
声量を落としてアリステアは最後の
「……では、いってくる」
「はい。お気を付けて。いってらっしゃいませ」
そうして扉が閉まったあと、エメラリアはその
「……ジャディス、私は正しいことができているのかしら」
自分は、手本通りのことをしている。間違っていないはずなのに、不安になる。
エメラリアがアリステアのためを思って行動しても、彼は困ったように返事をする。今も意地で自分の意見を通してしまった。
「奥様。出過ぎたことを申し上げますが、どうかお許しください。わたくしは、
「そうね。私と旦那様では大切に思っていることが違うみたい」
「育った
「……私だって全然理解できないわけじゃないの」
「ええ、奥様は大変
「私、自分をそんなふうに
振り返ったエメラリアに、
「旦那様はお
「甘える……」
ジャディスの言葉の意味を確かめるように、エメラリアは呟く。
ふと、
「……お母様も、似たようなことをおっしゃっていたわ」
「ウェリタス伯爵夫人でございますか?」
「ええ。『あなたは私が
(旦那様に……甘える……)
エメラリアはもう一度心の中で
(そもそも甘えるって、どうすればできるの……?)
自分には必要ない──考えたこともない要求だった。
しかも結婚してから求められるとは、夢にも思わなかった。
(いったい、どうしたらいいのかしら……)
エメラリアはエントランスホールの高い
● ● ●
この日の夜からふたりの間のクッションはなくなり、普通に並んで寝ることになった。
相変わらず、次の日になると薬の効果が切れたエメラリアが、アリステアに
異変が起きたのは、そんな矢先のことだ。
(
エメラリアは数日前から続く不調に
最初は慣れない生活で
体調を
「やっぱりお兄様たちに相談したほうがいいかしら……」
自分以外
(最初の
動くのが
エメラリアは迷った末、机の
『今日の夜、ご相談したいことがあります。お兄様も一緒だと助かります』
少し考えてから、そうしたためて
椅子から立ち上がったときに軽くめまいを覚えたが、振り切るようにエメラリアはジャディスのもとへ急いだ。
そして、次に意識が
ほどなくして、それがベッドの
「目が覚めたか?」
ぼんやりしていると左側から声がかかる。
首を
「旦那、さま……? どうして……」
まだはっきりしない頭で、なぜ彼がここにいるのか考える。窓の向こうは、やっと日が傾き始めたくらいで、まだ彼が屋敷にいるような時間ではない。
「ジャディスから、エメラリアが
「えっ」
倒れた。その言葉を聞いて起き上がろうとしたエメラリアをアリステアが
「まだ寝ていたほうがいい」
再びベッドに
体調も彼が近くにいるおかげでずっと楽になった。同時に、何があったかもはっきりしてくる。どうやら、ジャディスに使いを
問題が起きる前に相談しようとしたのに、完全にそのタイミングを見誤ってしまった結果だ。目の前で倒れるなど、ジャディスにも悪いことをしてしまった。
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
「謝らなくてもいい。具合が悪いときはお
安心させるように表情を
「こっちでの慣れない生活で、疲れが出たんじゃないかと医者は言っていたが……」
気になることがあるのか、話を中断したアリステアは、サイドテーブルに置いてあった紙を広げて見せてくれる。
「手紙は読んだ。ヴィオはエメラリアの容態のこともあったから今日は連れてきていないが、あいつもこの手紙を読んで気を
心配そうに
こうなってしまったら、アリステアだけでも先に事情を説明したほうがいいだろう。
「実は──」
エメラリアはここ数日あったことを説明した。
一通り話し終えたあと、アリステアは溜め息をつき視線を
「そんなに前から体調がよくなかったのか……」
「すぐにご相談せず、
「いや……気が付かなかった俺が悪い……」
「…………」
「…………」
重い空気を
「で、ですが、
「
誰の発言かわからないほど、その声は冷ややかで
さらにその直後、アリステアの周囲の空気が変わる。
彼の身体から次々と
(これ、は……)
エメラリアはこれ以上ないほど
自分の中に流れる精霊の血が
ぐわん、とアリステアの纏う黒い靄が
この靄に
(もう
エメラリアは
どうしてこんなことになってしまったのかが、わからない。
エメラリアが
今、アリステアはエメラリアに
シーツがしわくちゃになるほど、きつく
アリステアが息を吞んだのもそのときだった。
「……っ、すまない……」
押し殺すように
(また、旦那様を困らせてしまったわ……)
これっぽっちも理想のようにいかないことばかりだ。自分の感情も、夫婦生活も。
調子の悪い日が続いたせいか、一度弱くなった気持ちはどんどん深みに落ちていく。
だからだろうか。
「…………わたし……、旦那様の、お役に立てていますか……?」
弱々しく
「そんなの、当たり前だ……!」
アリステアは
「俺が安心して仕事に行けるのは、エメラリアが留守の間もしっかり屋敷を守ってくれているからだ。そのために
周囲の空気が揺れ、あらわになった感情が複雑に
声を
彼自身もそんなエメラリアの反応で
「なんだ、その……つまり、俺が伝えたいことはだな。お前は平然としていることが多くて、俺が感謝しているようなことは、もしかしたらお前にとっては大したことじゃないのかもしれない。だが、それは違う。どんなに朝が早くても、どんなに帰りが
少しずつ本音を語るアリステアの周囲からは、
「旦那様」
エメラリアは、自分の奥底から
ふらついたところを
「あの、ありがとうございます……嬉しいです。旦那様にそうおっしゃっていただけて」
アリステアは一瞬目を見開いたあと、緊張を解くように顔をほころばせた。
「そうか。それを聞けて安心した。……実は、お前に聞いてほしい話がある」
「なんでしょうか?」
「これは俺の希望でもあるんだが……エメラリアとは主従のような一方的な関係ではなく、もっとお互いを
「想い合う……?」
「ああ。エメラリアが俺のことを
向かい合うように座り直したアリステアの手が、
「さっき俺は、夜遅くに帰っても待っていてくれることが嬉しいと言った。その気持ちに嘘はない……だが、無理に俺と生活を合わせる必要はない。それに
アリステアは、エメラリアがシェフに
「新しい家族が増えたのに、その家族の好きなものが食事に出ないなんて
アリステアは
「私は……自分をそんなふうに
『奥様はご自身を
「すべてを否定するわけじゃない。お前も、大変な家に産まれたんだ。役目と立場を守ることは、それだけ
「……でも、旦那様はそうではないのですね」
「……ああ。それだけではあまりにも無機質だ。俺は、エメラリアの努力が、自分も他人も
アリステアはこれ以上ないくらい、優しく、そして強く、握る手に力をこめた。
「私、旦那様がおっしゃったことはすべてではないかもしれませんが、わかるような気がするのです。……わかりたい、です。……でも」
握られた場所は違うのに、
唇を噛み
「時間はたくさんある。ゆっくりでいい」
幼子をあやすように背中を
「だ、
包み込まれるような熱に
ドキドキと鳴る心臓の音は自分のものなのか。はたまた彼のものなのか。
ただ、その音を
(──私……この方を好きになりたい……)
気が付けば、ふっとそんな思いが胸の中に
それは、尊敬でも
あの、いつか見た彼に恋する
こんなに自分のことを想ってくれる、アリステアに恋をしたい。
(ああ……でもそんなこと、今の私にできるの……?)
しかし、同時に
エメラリアは自分自身の意思で、アリステアのことを好きになりたかった。
でも現実は無情だ。エメラリアが
だとしたら、自分がアリステアに
精霊の血は、どこまで心を食っているのだろう。
薬は、どこまで自分を自分で居させてくれるのだろう。
頭の中を、答えのない不安が駆け
エメラリアは、アリステアに見えないところでほろりと一筋の
(それでも……私は私の心でこの方を愛せるようになりたい……)
──自由な心を手に入れたい。
この
マタタビ侯爵の愛し方 政略結婚の旦那様なのに、不本意ながら「好き」が止まりません! 染椛あやる/角川ビーンズ文庫 @beans
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マタタビ侯爵の愛し方 政略結婚の旦那様なのに、不本意ながら「好き」が止まりません!/染椛あやるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます