レベル1のままの神撃無双~『Lv1限定ボーナス』でステータスをガンガン上げれる俺、全てのハンデを吹き飛ばし、驚異のスピードで最強へと成長する!~

桃色金太郎

始まりは何処

第1話 はじめまして。いえ、違います

『は、初めまして桜井ハルトくん。神の間にようこそ』


 白を基調にした神々しい落ちついた空間。そこで1人の女性が、俺を迎えいれ挨拶をしてきた。両手を広げその仕草には、威厳と優美さをかね揃えていて、まさに異世界の女神として相応しい姿だ。名前を女神ターニャといい、とても位の高い神様だそうだ。


「あっ、そうか。実際に会うの初めてか……ふぅ、こんな姿をしていたんだな。まぁ想像通りだな」


『そ、そうですか。は、恥ずかしいです』


 俺の感想に礼を言ってくる。おかしな返答だけど、女神だけあってかなりの美人だ。豊かな金髪にポテッとした唇。おっとりとした雰囲気で、全てを優しく包み込むオーラがある。普通の人間なら虜になること間違いない。

 で、その女神は笑顔を保っているが、少しひきつっていて緊張している様子だ。


『えっとハルトくんは、異世界転移希望で良かったわよね?』


『……はぁ? 今更なに言ってんの?』


 ここは神の間、いわば女神のホームグラウンドで、神が絶対優位な場所である。しかしそんな場所にいても、この女神は俺の乱暴な返しに萎縮して目を泳がせるだけだ。軽いパニックなのか、涙目になって分厚い書類を慌ててめくりだす。

 このままでは話が進まないと思い、俺は手で制し少し落ち着くようになだめた。


『あ、ありがとうございます。で、では転移の特典をお渡ししますね。えっとー、ご希望されたのは全属性魔法でしたね。ではいきます!』


 女神は半目になり手をかざしてくる。魔力をこめて、俺にスキルを与えようとしてきたが、パンッと破裂音がしてその授与は弾かれた。女神は戸惑っているが、ただ忘れているだけ。その事を教えてやった。


「あーーー……それより凄いのあるから……ねっ?」


 わざとゆっくりとした口調でプレッシャーをかけると、女神の手が震えだす。


『そ、そうでしたね。私としたことがうっかりです、ははっははっ……』


 俺は内心、『何がうっかりだ』と悪態をつくが、外面そとづらの表情でやりすごす。いちいち揚げ足をとって時間を潰したくはない。だがそのままって言うのも勿体無いから、目だけは反らさない。


『ヒッ、そ、そそそ、それでしたら魔法強化された武器などはどうですか? 色々とバフがかかっていますし、メッチャ活躍できますよ?』


「それもさぁ、良いのを持っているって」


 腰の愛用の剣を叩きながら語気をつよめ、オーバーに首を振りため息をつく。端から見れば、見目麗しき女神様に対して、不遜な態度をとる俺は許しがたい存在だろう。いや、女神本人が怒って、天罰を与えることだって考えられる。でもこの女神はそんなことをしない。出来ない理由があるんだ。


『あわわわっ、それでしたら、いきなり高レベルでのスタートはどうですか? 冒険者生活を楽しむにはもって、こい、で、すよ』


 またトンチンカンなことを俺に勧めてくる。それには本人も途中で気付き、語尾がどんどん弱くなっている。


「はぁー、俺の優位性を消してどうするんだよ? レベルアップしなかったからこそ、生き残れて来たんだぞ。なぁ女神さん、俺と一緒に行動してきたのに、あんたはいったい何を見てきたんだよ?」


『す、すみません』


 この女神のヘッポコぶりは、今に始まったことじゃない。

 天然なのはその人の特徴、でも限度ってものがある。この女神のいうとおりにしていても、何ひとつ上手に事が運んだ試しがないんだ。この転移だって、望んでもいないのに何回も経験している。だけど行き着く先は見当違いな所ばかりで、初回で貰うはずだったチートも不発でおわり、ひぃひぃ言いながらハードな転移を繰り返してきたんだ。

 その度に女神は反省している様子だけど、やられる方はたまったものじゃない。初めは笑って許していたが、ここまで来ると1ミリだって女神の事を信用していない。


 ただそのおかげと言うべきか、実は俺レベル1なのにかなり強い。ステータスはパンパンで、そんじょそこらの奴には負けない自信はある。


 名前:ハルト・サクライ

 Lv:1

 状 態:ボーナスタイム(ステージ6)

 魔 力:285900×2.5(源泉魔力ブースト)

 攻撃力:100000+50000(魔力分配)

 防御力:100000+50000(魔力分配)

 素早さ:150000×2(光の翼)

 器用さ:100000+50000(魔力分配)


 装備:竜骨唾刀りゅうこつだとう攻撃力+5000(格上の敵には更に+5000)


 スキル:竜言魔法(仮)、アイテムボックス、鑑定、言語翻訳


 はっきり言って強い、強すぎて武器がお飾りになっている。どれ位強いかと言うと、世間でのステータス各能力値の目安はこんな感じだ。


 ~10 一般人

 100 勇者ならLv1

 200 B級冒険者

 500~ A級冒険者

 1000~ S級や英雄クラス

 2000~ 魔王軍幹部

 3000~ 勇者ならLv400

 5000~ 魔王

 1万~ 神竜


 この前も竜を泣かせてやったし、次の高みを目指している途中だ。

 まぁこの原因は〝Lv1限定ボーナス〞とレベルアップ出来ない〝縛り〞の影響だ。そのおかげで強くなれたけど、全て起こりはこの女神にある。


「貰いたい物なんてねぇよ。あっても自分でなんとか出来るしね。……まあ、強いて言うなら、安心して一緒に旅ができるしっかり者の女神様が欲しかったかなぁ」


『す、すみません、そればっかりは神の力を持ってしても、なんとも……ハイ』


「でしょーねーーーー!」


 何度も頭を下げてくる女神。本来ならば上の立場の神様からの謝罪なので、その価値は非常に重い。普通の人なら頭を上げてくださいと、かしこまってしまうだろう。だが俺は違う!

 そんな1円の価値もないことよりも、これからの事をきっちりやってくれる方が有難い。だから念をおしておく。


「それよりも女神さん、今度の転移こそ本当に大丈夫なんだろうね? そろそろマジで親にも会いたいんだよね」


『は、はい。ぜったい、ぜったい成功させます!』


 何度聞いたセリフだろうか。しかし女神は目を輝かせ、握り拳を作って張り切っている。がぁ、さっきも言ったように、俺はこの女神の事を、夏休み始まったばかりの子供が言う『宿題? うん大丈夫さ』と同じ位に信用していない。隅から隅まで確認しないと、安心はできない存在だ。


「転移先の座標軸設定は?」


『はい、ご両親の目の前に設置してあります』


 映し出される両親が、こちらに向かって手を振っている。少し老けたけど元気そうでなによりだ。しばらく眺めたあと我に返り、他の事も確かめておく。


「魔方陣のチェックはしたか?」


『はい、時間をおいて10回はしました。逆算魔方陣も試してあります』


「うむ、様式もカルディナック法か。手堅い方を選んだな」


『はい、魔力燃費は悪いですが、実績がありますからね』


「よしよし、りったけの魔力をぶちこめ。お前が100年起き上がれなくなる量でだぞ、いいな?」


『ひゃ、100年ですか?』


「当たり前だろ。今度失敗したら、自力で転移魔法を習得して、ここに来てお前をボッコボコにしてやるからな!」


『ヒィーーーーーーーーーー、本当に私なんかでいいのですか? なんだか自信が失くなってきました、ショボン』


 感情を素直に出しすぎた為、迫力におされ女神は萎縮しきってしまった。それに俺は喝をいれる。


「馬鹿か、最初にしたのもお前なら、最後に締めるのもお前しかいないだろ? そんな大事な役を他の誰にやらせるんだ。しっかりしやがれ、相棒!」


『あ、相棒? えへっ、えへっ、うへへへへへ。そうですよね、私以外あり得ませんよね、うんうんうん』


 どうやら、もち直したようだな。たったこれしきの事で、全く手間のかかる女神だぜ。


『じゃあ、いきますよ、準備はいいですね?』


「ああ、何年も前からできている」


『ではーーー、異世界で存分に人生を楽しんでくださいな、そりゃーーーーー!』


 いつもの光に包まれながら、俺は異世界に旅立った。目を開ければ、夢にまでみた両親がいるはずさ。何度も挫けそうになったこの転移。信じて諦めずにいて良かったぜ。そう、それはあの時からだ。ボロい家で埋もれていた生活。思い出すのが懐かしい。


◆◆◆◆◆◆◆


これとは別に、カクヨムコン8に挑戦します。10万文字以上の長編です。


12/01(木)より新規スタート。


【題名】

覚醒したスキル進化で最強ダンジョン攻略~神が俺を見てるかも


読んで頂ければ嬉しいです。


https://kakuyomu.jp/works/16817330647987695884/episodes/16817330647987709124

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る