障害

生まれたときから腕がない。

生まれたときから足が動かない。

生まれたときから耳が聞こえない。

生まれたときから目が見えない。


俺は障害を持っている。

外見からわかることは沢山ある。

身体がみんなと違うのもわかる。

ある日のことだった。

姉と一緒に電車を待っていた。

「まだかな?」と話していたら

遠くの方で誰かが

「障害者が公共の乗り物を使うな。」

と言っていた。

声のする方を見ると

俺たちに視線が向いていた。

その日から

あまり電車に乗りたくなくなった。

「なんで

みんなと同じように

電車に乗ったらダメなのだろうか?」

そう考えてみたが理由はわからない。

たまたまみんなと違った。

それだけで

みんなと同じように電車に乗れないのは

自分たちだけ

違う世界から来た人みたいで

仲間はずれにされてるみたいで

邪魔者扱いされてるみたいで

ここに居たらダメと言われてるみたいで

とても悲しかった。


私は障害を持っていない。

だけど

いじめにあってから

少し心が不安定だ。

気づいたら闇落ちしていた。

日によっては

すべてがどうでもよくなる。

自分で自分を殺したくなる。

自分のことを全否定したくなる。

私が死んだ方が平和になると思いたくなる。

そうやって生活していた。

ある日

友達と話していた。

友達は

「今何したい?」

と聞いてくれた。

私は

「う~ん...早く家に帰って....寝たい。

そうしゅれば一日が早く.....終わるから。」

と言った。

少し噛んでしまった部分や

止まってしまったことに気がついた友達は

「あれ?

もしかして

上手く話せない障害を持っているの?」

と言った

私は

「持っていない。」

と答えた。

だが友達は

「前から私はあなたが障害をもってると

思ってたよ。

人見知りなだけだ

って、あなたは言っていたけど

今ので確信がついた。」

と言われた。

私はそれを言われた後

友達に言い返すことが出来なかった。

友達とこれからも仲良くしたかった。

友達と喧嘩するのが嫌だった。

だから我慢をした。

次の日から

その子やその子の友達から

「障害者」

と言われるようになった。


僕は障害を持っている。

差別を受けたり

学校でいじめられたり

外で遊んでいると冷たい目で見られたり

「大丈夫?」と心配されたり

したことがある。

だけど

生きることは

僕にとってとても楽しい。

心配される時もあるけど

僕は

はじめからこうやって生活していた。

だから

心配されたら

馬鹿にされたら

一人で出来ることを手伝ってもらったら

「なんで?」と思う。

だって

これが僕にとっての普通だから。

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日常がわからない 丹月 @akatuki_kiyo_86

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