第3話 一緒に寝よう

2度の初恋をした。

明日香はそう言ってくる。

俺は見開きながら、そうなのか、と納得するが。


ちょっと問題が起こってしまった。

明日香にバレてしまう。

俺の初恋が、だ。


「おにーちゃんのアホ。.....バカ」


「いやいや。そう言ってもな。俺だって男なんだから」


俺は説得しながら夕暮れ。

明日香は風呂に入ってから拗ねていた。

俺に対して、だ。

そんな俺は明日香に苦笑しながら、そういうもんだよ、と苦笑い。

明日香は俺をチラ見してジト目になる。


「明日香。俺は片想いだけど筒美さんが好きだ。申し訳無い」


「そうはっきり言ってくれるのがおにーちゃんだから良いけどね。.....でも私としてはおにーちゃんが私を愛してくれているものと思った」


「そうは言ってもお前な。16歳だろ?今青春真っ只中の子に期待なんて.....」


「まあそうだけど.....」


明日香は頬を膨らませながら俺を見てくる。

俺はその姿を見ながら苦笑い。

そして、でもお前の精一杯の恋は感じられたよ。有難うな、と明日香に笑みを浮かべてみせる。

明日香は、それだったら良いけどね、と笑みを浮かべる。


「.....私は絶対に勝つよ。お兄ちゃんの奪い合いは」


「.....そうか。.....まあ頑張れとしか言いようがないな」


「そうだね。だから見ていてね。私を」


「.....」


明日香は満面の笑顔を浮かべながら俺を見る。

それから顔をタオルで拭く。

俺はその姿を見ながら口角を上げつつ。

じゃあ隣に帰るね、と言う明日香を見た。


「.....っていうか風呂ぐらい自宅の使えよ」


「嫌だ。おにーちゃんの部屋のものが良いの」


「お前.....」


「私はおにーちゃんと暮らすんだから。そのうちに」


「.....いや。お前な。小っ恥ずかしいっての」


俺は真っ赤になりながら明日香を見る。

明日香はニコッとしながら俺を見る。

それから、私はおにーちゃんの許嫁。だから許嫁らしく居ないとね、と俺にニコニコしてくる。

全くコイツは.....。


「こんな俺を好いても意味ないと思うんだけどな.....お前は変わらずだよな」


「こんな俺だろうがどうだろうが私はおにーちゃんが好きだから。.....大好きだからね」


「そうか。.....まあ.....うん」


「恥ずかしいとか無いよ。私はおにーちゃんを思って10年近く経ったんだから」


「.....」


私はおにーちゃんの隣に立てれば何でも良い。

全てを投げ打っても構わない。

そう思ってココにきたからね、と笑顔を浮かべる。


それからハグをしてきた。

良い香りがする。

俺はボッとまた赤面した。

そして汗をかく。

オイオイ、と思いながら。


「お前な.....恥ずかしいって。俺は男だって言ったろ」


「愛していれば何でも構わない。私は愛しい人にこうしたかったから」


「.....ああもう!恥ずかしい事を平然と言うしするよなお前.....」


「おにーちゃんから告白されるまで頑張る身です」


「.....はぁ.....」


俺は盛大に溜息を吐きながら。

明日香を見る。

すると明日香は、でも今日帰りたくないな、とか言い出した。


それから、ねえ。おにーちゃん。私をこの場所で寝かせて?、と言ってくる。

良いのかそれは親とか.....、と尋ねると。

明日香は、親も公認だしね、とニコッとする。


「おにーちゃんと一緒なら恥ずかしくない」


「.....俺は恥ずかしい」


「おにーちゃんはウブだね」


「ウブとかじゃないからな!当たり前の事だ!


「私はウブって思うね。まあ私もウブだけどね。キスもした事無いし」


「.....!」


柔らかそうな唇を見ながら。

俺はまた真っ赤になる。

そうなのか、と思いながら。

すると明日香はニヤニヤし始めた。

それから俺を見てくる。


「えへへー。おにーちゃんのすけべ」


「.....大人を揶揄うなっての」


「大人って思ってない。おにーちゃんは私と同級生と思ってる」


「お前な.....」


俺は顔を引き攣らせながら明日香を見る。

明日香はニヤニヤしながら、じゃあ寝よ寝よ!、と言ってくる。

そして寝た体勢は。

俺と明日香が1つの布団で.....オイ!!!!!

これは恥ずかしいんだが!


「明日香さん?何やってんのかな?」


「これが当たり前だよね?」


「.....馬鹿なの?」


「おにーちゃんは一緒に寝るの。私と。だから間違ってないよ」


「あのな.....」


寝れる訳無いだろ。

良い加減にしてほしい。

俺は慌てながら布団をもう一個敷く。


それからそこに横になるが。

明日香がまたやって来た。

お前な!犬かな!?


「ぶー。おにーちゃんのアホ。何やってんの」


「それはこっちのセリフです。.....あのな!俺はお前とは寝れん!仮にも大人じゃない未成年と寝れるかぁ!!!!!」


「私はおにーちゃんの事は大人っておも.....」


「さっきも聞いたけどダメだって!」


俺は慌てながらそのまま暴れる。

それから暫く説得し合ってから.....そのまま。

俺と明日香は離れて寝る事になる。

ああ良かった、と思った瞬間でした.....。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る